注視される足元の景気下振れリスク
内閣府が14日発表した7-9月期の国内総生産(GDP)は、実質ベースで前期比1・5%(年率換算6・0%)の増加となり、4四半期ぶりにプラスに転じた。東日本大震災で寸断したサプライチェーンが復旧して生産が着実に回復し、輸出や設備投資の増加に加えて、国内消費に影を落としていた自粛ムードも緩和されたことがGDPを押し上げた。一方で足元は、海外経済の減速、円高進行のほか、タイの洪水被害の影響など不透明感が強まっており、とくに自動車産業の動向が焦点になりそうだ。
民間調査機関も、日本経済は震災後の打撃から着実に持ち直しの動きを継続、高い成長を予測していた。前期比1・5%増は2009年10-12月期の1・6%、10年1-3月期の2・5%の2期連続の上昇以来の高い上昇幅となった。内外需別の寄与度は内需が1・0%、財貨・サービスの輸出から輸入を差し引いた純輸出が0・4%となり、震災によるサプライチェーン寸断、消費やレジャーなどの自粛ムードが解消に向かったことを裏付けた。
7-9月期GDP押し上げに貢献したのは自動車だ。4月までは減産を余儀なくされたが、5月から生産が急激に立ち直り国内販売や輸出の増加につながり、設備投資も押し上げた。自動車生産は部品のみならず電子デバイス、鉄鋼や化学など素材製品の生産にも波及した。
ただ10月以降のGDP見通しは、復興需要など景気押し上げ要因がある半面、欧州の財政・金融危機を契機に世界経済に減速感が広がっている。日本企業にとって円高ドル安に加えてマルク安の影響も大きくなっており、タイの洪水被害の影響も読みきれない。これらを踏まえ古川元久経済財政担当相は「景気の下振れリスクに注視したい」と述べた。
すでに発表が終わった4-9月期の企業業績は回復基調が鮮明になったが、一方で期後半には頭打ちも目立った。とくに自動車とともに日本経済を引っ張ってきたエレクトロニクス企業の業績悪化が進んでいる。タイの洪水影響は東日本大震災に比較すると軽微とされるが、自動車やエレクトロニクスなどのサプライチェーン復旧が遅れると11下期業績に下方修正を迫ることになりかねない。
11年度政府経済見通しの0・5%成長を達成するには、残り2四半期にそれぞれ0・3%増が必要になる。日銀は先月末に発表した経済・物価情勢の展望で、11年度実質経済成長率を0・3%に下方修正した。第3次補正予算の早期成立・執行に加えて、企業や消費マインドの好転を支援する政策が待たれる。