界面活性剤の復興に向けた底力に注目
東日本大大震災は、界面活性剤業界にも打撃を与えた。鹿島コンビナート(茨城県神栖市)には複数の界面活性剤メーカーが進出し、工場を稼働もしくは建設中だったが、津波や液状化の被害を受けた工場が続出した。今年夏に現地を訪れた際、界面活性剤の原料であるエチレンオキサイド(EO)のパイプラインの敷設工事が進んでいた。震災前は地中に埋設していたが、保守管理のリスク対策から地上に設置することにした。完成まではタンクローリーで各工場に輸送しており、早期に復興工事の完成が待たれる。
界面活性剤の生産は、3-4月は前年同期比でマイナスとなったものの、5-6月はプラスで推移しており、順調な回復を示している。日本界面活性剤工業会がまとめた2011年上期(1-6月)の実績によると、陰イオン活性剤とエーテル型の一部製品を除いて生産量、販売量、販売額が前年同期を上回った。販売量を品目別にみると、シャンプーなどヘアケア用品に使われる硫酸エステル型が同3%増、粉末の衣料用洗剤などに消費されるスルホン酸型アルキル(アリル)スルホネートが同7%増、台所洗剤などを用途とするエーテル型POEアルキルエーテルが同9%増などとなっている。
界面活性剤の用途は幅広いが、その一部である石けん、洗剤、ヘアケア用品について経済産業省がまとめた販売実績では3-4月は低迷したが、5-6月は復調しており、需要産業の生産回復の動きとリンクしていると考えられる。
ただ、西日本に主力製造拠点を置く界面活性剤メーカーによると、震災直後は受注が増えたものの、関東の製造拠点が生産回復に転じた7月以降は反動が出ているようだ。また、需要家の在庫が積み上がっている可能性もあり、下期の出荷は楽観できない状況といえそうだ。
かつて界面活性剤は助剤などと呼ばれていたことが示すように脇役的な化学品であるが、日用品から電子部品などの工業用途まで幅広い分野で利用されている。しかも最終製品のパフォーマンスを支える高度なテクノロジーが求められ、その要求は年々高まっている。
界面活性剤の国内市場規模は約2000億円。そこに40以上の企業が参入してしのぎを削っている。そのなかで生き残るためには、エレクトロニクスやライフサイエンスといった成長分野に展開できる高い技術開発力が必要な高機能製品が不可欠になる。また、原料購買や物流など含めた多様なアライアンスについても知恵を出し合い、持続的成長に向けた基盤づくりを望みたい。