急がれる首都圏の地震対策
東日本大震災から半年、ようやく復興への取り組みが始まろうとしている。財源論議が先行しているが、まずは明確なビジョンを示す必要がある▼今回の大震災は、改めて地震国日本に住む国民の防災意識を喚起することになった。過密都市・東京の地震対策もしっかり検証するいい機会でもある。中央防災会議が大震災発生直後にまとめた「帰宅難民」に関するシミュレーションの結果は興味深い内容だ▼首都圏を震度6強の揺れが襲い、建物の倒壊や火災が発生して電車などの公共機関が止まった状況を想定した場合、東京23区内で満員電車状態(1平方メートル当たり6人以上の密度)並みの道路が35カ所発生する。475万人がこうした過密道路にあふれるという▼通常、1時間で4キロメートル歩けるが、満員電車状態では400メートルにとどまる。そのため、東京・丸の内から千葉市役所まで通常なら10時間強で行けるが、これが14時間以上かかる。横浜市役所までは、8時間が15時間近く要するという計算だ▼一方、東京都の試算では、予想される448万人の帰宅困難者向けの非常食備蓄が大幅に不足していることが分かっている。こうしたなかで、国土交通省は大規模駅の周辺で避難施設や物資の備蓄倉庫の整備に乗り出す方針だ。大震災の教訓は多い。防災意識もさらに高めたい。