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2011年08月29日 前へ 前へ次へ 次へ

「持続成長と化学の力」 DIC 杉江和男社長

DIC杉江和男社長1.jpg※モノづくりの条件整備を ※戦略構築 グローバルに

 東日本大震災によるサプライチェーンの寸断は印刷インキ業界にも大きな影響を与え、供給責任を負うメーカーは対応に追われた。印刷インキ世界トップで、日本を代表するスペシャリティケミカルメーカーのDICにとっても得られた教訓は多い。杉江和男社長は「化学産業は日本の基幹産業になり得る」と強調し、その在り方を示す。

※日本製品に2面性※
 ー 震災が日本の産業界にもたらしたものは。
 「日本製品の国際社会における地位がはっきりみえた。それには良い面と悪い面がある。良い面は日本の素材・部材がグローバルに使われていることが証明されたこと。その代わり、供給がストップしたことでユーザーは海外の二級品でも使いこなせるようになった。日本の一級品が今後グローバルに使われるか不安もあり、再び使われた際にも価格が少し下がることが懸念される。印刷インキ業界は、とくに日本は顧客の要求に細かく対応しているので品番が多い。そのため多品種少量で効率が悪く、その分コストも高くなっている。品番統合は震災により進んだが、効率的・継続的に製品供給を行うには、さらに必要だ」
 ー 直近の動向をどうみますか。
 「自動車産業は海外生産シフトに拍車がかかるだろう。日本における生産台数は元に戻らないと思うし、さらに空洞化が進むとみている。各社の第1四半期(4ー6月)業績は予想より良いところが多かったが、第2四半期は落ちるのではないか。節電対策で第1四半期に前倒しで生産量を増やした影響が出てくると思う。その点では、一般的にいわれている秋口からの回復とはいい切れない」

※環境変化捉え開発※
 ー 今後の日本の化学産業の方向性は。
 「資源のない国なのでモノづくりで生きるしかなく、そのための条件整備が必要だ。今後は世界の価値観の変化、環境変化を捉えた商品開発が一層重要になる。また、現在は部品・部材ごとに優れたものをつくっているが、アッセンブリーとの縦のアライアンスをしっかりしないといけない。再生可能エネルギーは日本の化学産業にとってチャンスだ。ただ、液晶パネルなどは海外に主導権が移ってしまったし、例えば太陽電池を日本の主要な産業にするには初期段階で政府の促進策をしっかりする必要がある。さらに同じ製品をつくる小規模企業が乱立する構造は課題だし、中小企業の『匠の技』を今後生かすための支援なども必要だ。

※世界各地で「分業」※
 ー そのなかでDICは、どう取り組んでいきますか。
 「当社は世界の中で存在価値を生かせる分野で事業を展開している。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の実現などで国境の壁がなくなるなか、それぞれの国の特徴を生かした国際分業を行う。例えば、生産は新興国、欧米はマーケティング、研究開発は日本が担当し、スペシャリティは日本で生産して世界の富裕層に売るなどだ。そのためグローバルに本社機能を強化する。この一環として、グローバル・マネジメント・ミーティングを行っている。欧米、中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)の各拠点、また日本の各事業部長を集めて、これからDICはグローバルにどうするかを話し合うものだ。これまでの各国拠点の積み上げではなく、グローバルに戦略を練って目標を立てていく」
    (随時掲載)


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