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2011年08月24日 前へ 前へ次へ 次へ

先端素材も世界を視野に事業再構築

 グローバル規模で競争激化が進む先端素材事業からの撤退が相次いでいる。2008年の金融危機からの景気回復も束の間、東日本大震災や円高の荒波をモロにかぶってトップ企業以外は事業継続が難しくなりつつある。より強みを発揮できる分野へと、あらためて選択と集中が経営課題に浮上してきた。
 コバレントマテリアルは主力のシリコンウエハー事業を取引先の台湾企業への売却を決めた。前身である東芝セラミックスは熱処理技術を生かした高性能シリコンウエハーを得意とし、技術面の評価は高かった。06年に経営陣による買収(MBO)によって独立し、コバレントとして発足後は投資会社やシンジケートローンから調達した約300億円を使って生産能力を一気に3倍にするなど、積極的な拡大戦略を打ち出した。しかし、08年の金融危機でつまずいた。信越半導体とSUMCOの寡占市場において、投資競争を続けるだけの体力がなかった。
 打開策として同業他社との協業を探ってきたが、結局太陽電池製造用石英るつぼのユーザーであった台湾社への売却となった。買収した台湾企業は太陽電池用だけではなく半導体用ウエハーも手掛け、コバレントにとってはライバルでもあったが、セラミックス事業ではユーザーという関係。売却後のコバレントは経営規模をほぼ半分にスリム化、セラミックス専業メーカーとして再生を目指す。
 真空装置大手のアルバックは、半導体回路用アルミニウム事業から撤退、液晶パネルの製造用マスクブランクス事業で一部資産の減損処理と同時に生産設備を集約して台湾子会社に移管する。これにともない約240人の人員削減に踏み切る。
 同社は成膜などの液晶製造装置で世界トップ。半導体と太陽電池製造装置も手掛け、これらが補完しあって安定成長を続けた。ところが主要取引先の日韓液晶テレビ大手の設備投資が大幅減、中国での新規投資案件も延期になった。さらに稼ぎ頭だったアモルファス太陽電池製造装置事業は、数年前から伸びが止まっている。マスクだけではなくITO(インジウム・スズ酸化物)ターゲットなども大幅減収になり、11年6月期に約58億円の減損を計上した。
 今後は次世代フラットパネルディスプレイ材料である酸化物半導体(IGZO)や有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)、化合物などの非アモルファス太陽電池を軸に成長戦略を推進する
 2社の決断は、先端素材や装置企業においても不採算事業から撤退し、世界トップシェアが狙える分野で勝負を賭ける時代を迎えたことを示している。


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