再び暗雲立ち込める世界経済
リーマン・ショックから3年近くが経ち、回復しつつあった世界経済に再び暗雲が立ち込めている。欧米の景気減速で世界同時株安が起こり、投機資金が円に流れて過去最高の円高を更新するなど日本は非常に厳しい状況に置かれている▼米投資銀行のリーマン・ブラザーズが2008年9月に経営破綻したのは、証券化され世界の金融市場にばらまかれた高リスク商品の信用不安が引き金だった。金融機関のバランスシート修復に公的資金が注入され、実体経済への波及を防ぐ財政出動も行われた▼いま起こっている問題の底流には、国家の信用が揺らぐソブリンリスクがある。欧米の債務問題もリーマン・ショック対策が尾を引いており、新たな危機が表面化したといえるだろう▼不思議なのは円高だ。日本経済は震災で傷つき、公的債務残高は先進国で最悪である。対外債権国であり、民間の金融資産に支えられた国債の国内消化が投機筋から評価されているようだが、震災からの復興が急務の日本にとっては迷惑極まりない▼為替や株価の今後には懸念が募るが、欧米経済が持ち直し、世界経済全体に明るさが出てくることが最大の解決策になる。ただ各国が財政健全化の道筋を示さなければソブリンリスクがくすぶるだけに、長いトンネルに入る覚悟が要るかもしれない。