再びマイナス見通しの無機薬品需要
無機薬品の2011年度需要が再びマイナスに転じる見込みとなった。日本無機薬品協会はこのほど策定した需要見通しで、今年度出荷量を前年度比4・6%減と予想した。電子材料用途を持つ一部の品目が増加するほかは前年を割り込むとの見方だ。東日本大震災の影響からは回復してくるものの、需要動向の行方は予測困難な状況としている。復旧・復興需要への期待もあるが、各社は不透明な市場環境の中での展開を余儀なくされそうだ。
無機薬品は幅広い領域を対象とし、古くから化学工業の一翼を担いながら産業基盤を支えてきた。一方で、15年ほど前まで500万トンを超えていた生産量は、21世紀初頭のITバルブ崩壊を経て400万トンレベルまで低迷。国内における公共投資の縮減に加え、リーマンショックに端を発した世界同時不況を背景に08、09年度はマイナス成長を余儀なくされた。10年度はほとんどの品目が伸長し、3年ぶりのプラスに転じていた。
11年度需要見通しは299万2663トンで300万トンを割り込むものの、これには震災の影響で主力用途である塗料の需要見通しがつかない状況から策定を行わなかった酸化チタンが含まれておらず、単純比較はできない。
見通しでは、デジタル家電向けセラミックコンデンサーなどに使用されるバリウム塩類が前年度比6%増、フラットパネルディスプレイのガラス用途に用いられる炭酸ストロンチウムが同36%増、またその他が増加し、有彩無機顔料が横ばいとなるほかは低迷。船底塗料の防汚基材などに使われる亜酸化銅、磁性材料向けなどの酸化第二鉄、また塩化亜鉛が2ケタ減少するほか、全体の4割近くを占める水処理剤関連のアルミニウム化合物は同4%減を見通した。
同協会では震災の影響で年度前半は低調に推移するものの、後半には回復すると期待。一方、震災からの復旧・復興の進捗状況による影響は避けられず、需要動向の行方は予測困難な状況になっているという。
実際、3月単月の生産・出荷量が16カ月ぶりにマイナスに転じ、4月もこれを引き継いだ。5月に関しては回復したものの、その後の節電対策でメーカー各社の生産体制に影響が出ていることも予想される。
日本の無機薬品メーカーは、市場を牽引してきたIT分野や環境関連用途などに照準を合わせて付加価値を高めるなど、市場環境の変化に対応し差別化製品を生み出してきた。不透明感があるなかでも、これらの取り組みに拍車をかけ需要を取り込んでいくことが不可欠になってくる。