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2011年07月27日 前へ 前へ次へ 次へ

欧米で急増する特殊化学企業の買収

 欧米においてスペシャリティケミカル分野の企業買収が相次いでいる。金融危機後、下火だった買収が再び活発になり、日本の化学企業にとっても目が離せない状況が続いている。
 7月にはロンザがアーチ・ケミカルズを14億ドルで買収することを発表した。製薬企業などからの受託合成を主力事業にするロンザは、防腐剤をはじめとする製品群を手掛けるマイクロビアルコントロール事業を持っている。バイオサイド(防菌防黴剤)大手のアーチ・ケミカルズの買収によって、この事業を強化する。
 5月末にはアシュランドが約32億ドルでインターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ(ISP)を買収することを決めた。アシュランドは2008年にハーキュリーズを買収するなど、スペシャリティケミカル事業強化を進めてきた。機能性原料、水処理、特殊樹脂、自動車関連製品などのコンシューマーマーケットの各事業を成長事業に位置付けており、化粧品、食品・飲料、医薬品向けを中心にした機能性材料を手掛けるISPの買収で、スペシャリティケミカル事業の幅を広げる。
 この2件だけでなく、今年になって欧州では大型買収が具体化している。2月にクラリアントがズード・ケミーを、3月にはソルベイがローディアを買収することで合意した。クラリアントは買収を機に成長に軸足を移す戦略を決め、15年に向けた経営計画を明らかにした。100億スイスフラン以上の売上高と、17億スイスフラン以上の特別項目計上前のEBITDA(金利・税・減価償却費計上前利益)を目指すことが骨子。
 ソルベイによるローディアの買収で、約120億ユーロの売上規模を持つスペシャリティケミカル企業が誕生する。買収と同時にローディアのジャン・ピエール・クラマデューCEO(最高経営責任者)が新生ソルベイのCEOに就任する人事も内定した。
 こうした買収によって欧米のスペシャリティケミカル企業は一段と大型になる。売上規模が必ずしも企業優劣の指標にならないことは、これまでの買収や合併の歴史が証明している。しかし、各社ともに買収によるコスト削減効果と事業の相乗効果には自信を示している。今後のアジアを含めた世界市場における競合を考えると、日本の企業にとっては脅威になるだろう。
 米国ではローム・アンド・ハースを買収し、その相乗効果を追求するダウ・ケミカル、ダニスコの買収を終えたデュポンが存在感を一段と高めている。スペシャリティケミカルをめぐる動きにはますます関心が高まりそうだ。


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