小麦さび病との戦い
いま、メディアを席巻しているのは、政局と震災復興にともなう財源・増税問題だが、7月から小麦粉や食パン、乾麺などの価格が引き上げられた。食卓への影響はもちろんだが、外食産業へもジワリと広がる可能性が高い▼この背景にあるのは、原料である小麦価格の高騰だ。中国の干ばつなど生産国の不作や新興国での需要拡大そして投機資金の流入などいくつかの要因があるが、国際市況はここ数年、上昇基調にある。今回の値上げは、政府による製粉会社への売り渡し価格が4月、平均18%引き上げられたことに対応したものだ▼世界の年間小麦生産は、ほぼ6億4000万トン、中国、インド、米国が三大産地である。ちなみに、日本は消費量の約85%を北米などからの輸入に依存している▼この間、世界の小麦生産関係者が注目しているのが、小麦さび病「Ug99」の動静である。99年、アフリカのウガンダで初めてその存在が確認されたUg99は、きわめて病原性の強い真菌で、既存品種に壊滅的なダメージを与える。現時点では、効果的な対応策はない▼厄介なのは、菌の胞子が風に乗って拡散すること。これまでにケニア、エチオピアなどで発生が確認されたが、中東、西アジアへの侵入が懸念される。小麦さび菌との戦いは、これから正念場を迎えることになる。