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2011年07月26日 前へ 前へ次へ 次へ

先端分野での知財戦略構築を急げ

 特許庁がまとめた2010年の国際特許出願の動向調査によると、日本は電池の充放電技術や電力用半導体素子であるグリーンパワーIC、レーザー加工技術などで米国や欧州を押さえてトップの座を占めていることが分かった。政府の新成長戦略では「技術で勝って、事業でも勝つ」事業への転換が指摘されたが、こうした先端領域での優位性を官民挙げて維持する体制を早急に確立すべきである。
 特許庁によると、10年の特許出願件数はほぼ前年並みの34万4598件となった。この原因は、盛り上がりに欠ける経済活動とともに、出願者が事業展開の核となる質の高い特許出願を志向しているとみている。一方、日本からの特許協力条約に基づく国際出願(PCT出願)件数は、前年から7・9%増加して3万2148件。03年以降、米国に次いで世界第2位を維持しているという。日本企業のグローバル化と国際的な知的財産権保護の重要性が高まっていることが背景にある。
 注目されるのは中国の動向で、10年のPCT出願件数は前年比56%増の1万2296件となった。09年にフランスを抜いたのに続き、10年は韓国を抜き4位に躍進、米日独を追い上げている。
 特許庁が日本の知財活動の実態を把握する狙いから実施したのが、環境・エネルギー、ライフサイエンス分野を中心とした12の技術テーマの特許出願動向。各技術分野で、国別、企業別の強みを調査、日本の今後の進むべき方向性を分析した。
 それによると、出願人国籍別の日米欧、中国、韓国への出願割合は、電池の充放電技術では日本が40%で、米国21%、欧州17%を引き離している。グリーンパワーICでも日本の58%に対して米国18%、欧州15%、レーザー加工技術は日本47%、欧州30%、米国15%という内容になった。
 一方、風力発電では欧州が44%と強みを発揮、日本18%、中国15%、先端がん治療機器は米国52%、欧州22%、日本15%、ドラッグデリバリー技術では米国44%、欧州29%、日本9%という構成である。
 充放電技術は、次世代のリチウムイオン電池材料の開発競争のカギを握るもので、劣化の抑制や安全の確保に不可欠。グリーンパワーICも新成長戦略で取り上げられた低炭素社会を実現する官民のパワー半導体プロジェクトなどが本格化する。
 最大の問題は、こうした知財戦略が事業戦略のなかでどう機能するかである。事業のグローバル化は、マーケティング戦略と知財戦略の両輪が不可欠であることはあらためて指摘するまでもない。


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