政局と切り離して再生エネ法審議を
再生可能エネルギー特別措置法案の国会審議が14日から始まる。太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電気を固定価格で買い取る制度で、東日本大震災の発生した3月11日の閣議で決定した。ただ、この法案の裏づけになったエネルギー基本計画は、原発事故を契機に抜本見直しが迫られていること、買取量の増大で需要サイドの経済負担など前提条件が変わった。国会では、これらの課題を十分審議してもらいたい。
再生可能エネルギー法案は、2030年に総電力に占める原子力の割合を50%、再生可能エネルギー20%を明記したエネルギー基本計画を実行するために立法化された。温室効果ガス(GHG)削減に寄与する太陽光や風力のほか水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気全量を電力会社に買い取りを義務付けている。これまで太陽光発電の余剰買取制度は施行されているが、購入を自然エネルギー全般に広げるとともに、販売を目的にした大型発電設備も対象にした。
地球温暖化対策としての色彩の強かった再生可能エネルギー法案が注目されたのは、脱原発を模索する菅直人首相が、退陣の条件の一つにこの法案の成立を掲げたためだ。しかし閣議決定以前の議論でも、買取制度によってカ性ソーダや電炉など買電に依存している特定産業の負担が懸念され、慎重な対応が要求されたが、さらに原発事故によって前提条件が崩れた。
原発発電比率50%の目標達成のみならず、30%を維持することすら困難になりつつある。まず、原発依存を見込んだエネルギー基本計画の可否の議論から始めるべきだ。その際に再生可能エネルギーへの期待は膨らむが、現在の技術水準では発電コストの上昇に加えて、原発事故の補償関連費用の確保という二重の負担によって、これまで想定していた以上の電力価格の上昇になろう。
国会審議では、原発依存のエネルギー政策見直しを可能にする代替電源を示す必要がある。その場合の電力コスト、GHG排出量の見通しを国民に示し、経済負担増の理解を得る努力が不可欠だ。震災後のエネルギーを取り巻く環境変化の影響は、日本の経済社会にとって無視できないほど大きくなったことを認識すべきである。
再生可能エネルギー法案をめぐっては、与党の民主党のみならず野党の自民党からも「菅首相を退陣させるために早期成立」を目指す動きがあり、政局がらみの法案になりつつある。わが国のエネルギーや地球温暖化政策、地域経済や雇用など国民生活の影響などに向かい合い、真摯な国会審議を望みたい。