ニュースヘッドライン記事詳細

2011年07月13日 前へ 前へ次へ 次へ

もんじゅの未来

 福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」を1991年に見学した。その威容に圧倒され、文殊菩薩にちなんだ名称のせいもあってか、神々しさすら感じたことを覚えている。それだけに、95年のナトリウム漏えい事故はショックだった▼高速増殖炉は、消費した以上に新しい燃料を作りだすという次世代の原子炉で、もんじゅはその原型炉だ。核燃料の枯渇を解決する切り札とされ、その実用化に向けた研究開発は、国家プロジェクトとして推進されている▼もんじゅの設計が始まったのは68年、さまざまな安全性試験を重ねて稼働し、94年に初臨界を達成した。しかし翌年に冷却材のナトリウムが漏れるトラブルが起こる。改造工事を経て運転再開に漕ぎついたのは昨年5月のことである▼福島第1原発では冷温停止に向けた決死の作業が続くが、その波紋は広がるばかりだ。政府は全国の原発を対象に、地震や津波などにどこまで耐えうるかを確認するストレステストの実施を決めた。原発のあり方自体も問われている▼原発を主軸に据えているエネルギー政策の見直しが避けられないなか、国の方針変更によっては、高速増殖炉を開発していく意義自体も危ぶまれる。これまでの努力が無に帰する可能性もあり得るだろう。智慧を司る文殊菩薩はどう考えているのだろうか。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.