刑事コロンボの魅力
「刑事コロンボ」の主役俳優ピーター・フォーク氏が23日に83歳で死去した。「うちのかみさんがね」のせりふは日本で大流行し、いまでもつい物まねで口にでることがある。強烈な個性をもったコロンボは多くの日本人を魅了し、愛された▼コロンボシリーズは米国の脚本家・TVプロデューサーのリチャード・レビンソンとウィリアム・リンクによって制作された。よれよれのコート、ぼさぼさの髪、ぼろぼろの愛車プジョーは洗練さとは対極で、それを魅力にする思惑は大成功した▼二見書房が出したシリーズは全作を読んだが、映像の主人公と見事に一致する。全作とも犯人が最初に登場するが、巧妙なアリバイを崩していく過程と、どの時点で犯人と分かったかを推理するのが面白い▼警察という国家権力を微塵も感じさせないコロンボが、社会的地位の高い犯人を追いつめていくストーリーには随所にユーモアも溢れる。しかし実は頭脳明晰で、繊細な観察眼で真実を追究する執念にはプロとは何かを考えさせられる▼多くの人は個性的でありたいと願う。だが個性はうわべで繕うものではないし、良し悪しもある。信念、行動、人間的魅力に裏打ちされた個性を身につけるのは難しい。コロンボが支持されたのは、外見とヒューマニズム(人間愛)の調和も大きい。