アピールしたい遮熱塗料の節電効果
東京電力福島第1原子力発電所の事故によって、今年の夏は例年以上に暑く感じることになりそうである。求められる節電対策の一つとして高日射反射率塗料(遮熱塗料)の積極的な活用を期待したい。工場の屋根や外壁、一般家庭の屋根などに塗装することで室温の上昇を抑え、エアコンの使用量を減らすことができる。地球環境にも優しいことから、助成金を設けて普及の後押しする自治体もある。ただ、出荷量は年々増えているものの市場全体からみるとまだ普及率は低い。塗料メーカー、販売業者、塗装業者が一丸となって消費者へのアピールすることが必要だ。
遮熱塗料を塗装すれば、屋根の構造や色調、気象条件にもよるが、夏場で屋根の表面温度を15-20度C、屋根裏で約15度C低くなり、1階部分では外気温に1-2度Cプラスした程度で収まるという実験結果がある。また2500平方メートルの建屋で、冷房費などの電気代が年間240-560万円も節約できるという試算もある。
遮熱塗料の出荷量は毎年順調に伸びており、2009年度出荷量はリーマンショック後の不況にもかかわらず6720トンとなり04年度の約4倍に達した。そのうち96%は建築用で、道路用は量的にはまだ少ないが伸び率は04年の約7倍と飛躍的に増えた。10年度は全用途合計で7000トン前後になった模様で、数年内に1万トン台に乗りそうだが、建築・道路用塗料の市場全体からみればまだ少ない。
東京・渋谷の国立代々木第1体育館の屋根に遮熱塗料が塗り替えられたときはテレビでも放映され注目を集めた。大手食品工場の屋根にも塗装されるなど徐々に採用は広がりつつある。だが、一般家庭となると認知度はまだそれほど高いとはいえないだろう。理由の一つは、化粧品のようなコンシューマー製品と違って、塗料は最終製品とはいえ、業者による塗装が必要になることがある。このため業者から提案を受けるまであまり関心をもたないということが考えられる。ましてや何種類もある製品を事前に比較検討している消費者は少ないだろう。一般の人にもわかりやすい広報宣伝活動が必要ではないか。
他方、遮熱塗料の機能や性能については、今秋にも屋根用で色相別の製品JISが制定される見通しで、製品の信頼性を一層高めると期待したい。普及推進には国や自治体の支援も必要だ。環境省の行っていた助成制度は事業仕分けで今年度は廃止されたが、都内では港区や中央区などの自治体が遮熱塗料の塗装の際に助成金を交付している。助成金制度を広く住民に啓蒙普及する必要もあるだろう。