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2011年06月28日 前へ 前へ次へ 次へ

困難に寄り添う活字の力

 出版不況はすでに話題にもならないほど、茶飯事として受け止められる。若い世代にとって電子検索で書籍を購入するインターネット書店は活況のようだが、全体の落ち込みを補完するほどではない。新聞も、若者は携帯配信に流れている▼書籍について言えば、1996年をピークに長期低落傾向が続く。ハリー・ポッターシリーズなどのメガヒット商品はあるが、書籍販売全体を元気づけることになっていない。月刊誌、週刊誌はともに、97年をピークに前年割れが続く状況に歯止めがかかっていない▼当然のことながら、書店も苦しい。日本の書店数は、01年2万939店だったが、11年には1万5061店へ10年間でほぼ6000店減少した。地方の過疎化、少子化などいくつかの要因が絡むが「本が売れない」という現実は厳しい。このままでいけば、向こう10年間で1万店を割り込むという見方もある▼こうしたなかで、東日本大震災の被災地、東北で本の売れ行きが好調らしい。全国の書籍販売額はいぜんとして低調だが、東北6県は震災による書店の被害がありながら、3月下旬以降は前年実績を上回っている。避難所に配られた新聞も大切に扱われているという報道もある▼人が非常な困難に直面したときほど、それに寄り添うように活字の力が強まるようだ。


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