急がれるタンク基地の地震・津波対策
液体化学品の保管基地であるタンクターミナルは通常、湾岸部にある。石油化学コンビナートで使用する原料を保管するタンク、生産された製品を需要先へ供給するためのタンクなどさまざまだが、こうした屋外タンク貯蔵所は生産設備同様に地震や津波の影響を無視できず、安全確保に向けた対策が必要だ。今回の東日本大震災を契機に地震に加えて、津波対策が課題になった。視点を広げた防災対策が急がれる。
屋外貯蔵タンクは消防法による耐震基準が1977年に強化された。その後も地震、腐食、火災・爆発の事故を教訓に基準および安全対策の整備が進んだ。とくに03年の十勝沖地震では、長周期の地震動とタンクが共振(スロッシング)、浮き屋根式貯蔵タンクの浮き蓋が破損して引火、火災が発生した。この被害状況をもとに耐震機能を確保するための基準が整備された。すでに1万キロリットル以上のタンクは適合を完了、1000キロリットル以上の特定タンクで13年12月末、500キロリットル以上の準特定タンクで17年3月末までに新基準に適合させることになっている。
消防庁は、今回の震災で東北地区を中心に広範な被害を確認している。震源地の太平洋側だけでなく、日本海側の酒田、新発田、新潟でも長周期地震動による影響がでている。このほか幅広い地域で津波被害、短周期地震動被害が起こった。
東京湾岸では市原市以外にも地震被害や液状化現象がみられた。高さ約20メートルの危険物の自動立体倉庫では、上部ほど揺れが大きく、ドラム缶などが落下した。2次災害に至らなかったものの、再稼働までには大変な労力を要したといわれる。タンクターミナルでは、地震発生の数十秒前にバルブ閉め作業など安全対策を講じたことで、液状化現象による被害がみられたものの、固定タンクにはほとんど支障はなかったようだ。
屋外タンク貯蔵所を運用するタンクターミナル関係者は、今回の地震を踏まえて、揺れに加え津波対策の必要性を強調する。消防法や石油コンビナート等災害防止法では出火に対する消火を最優先してきたが、今回の震災では改めて津波防災の重要性を教えられたという。
しかし30メートルを超えるような防波堤を全国に張り巡らすことは困難で、自然環境の破壊にもつながりかねない。費用負担にも限度がある。現実的には予知システムの導入や避難所の確保など地域を含めた防災対策が必要になる。消防庁は危険物施設など地震・津波被害を実態調査、対策の検討を始めた。いつ起きるか分からない地震だが、拙速を避け、総合的な対応策に求めたい。