ニュースヘッドライン記事詳細

2011年06月22日 前へ 前へ次へ 次へ

東日本大震災 医薬品企業への影響 連載3

化医療◆本社=大槻愼一
{9、10月には操業再開できる}

 震災被害は栃木県のケースをみても以外に拡がりがあった。小名浜、いわきは震源地に近いが、少し離れた高萩、牛久、つくばといった茨城件、場合によっては湘南でも被害があった。大きかったのは第一三共の小名浜、アステラス製薬の高萩などでいずれも9月の操業再開見込みになっている。両社とも海外にも製造拠点を有しており、操業停止が長期化すれば海外活用が話題になっただろうが、幸いそうした事態は避けられた。しかし、長期的には国内からの脱却、グローバルなサプライチェーン構想は検討しておく必要があろう。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

「第一三共、アステラスとも原薬工場再開は遅延」

 第一三共は、小名浜と平塚で被害があった。小名浜は、同社の主力品の一つである高脂血症治療薬のメバロチン、降圧剤のオルメテックなどの原薬工場である。メバロチンは、国内でもジェネリック医薬品があり、原薬ソースも豊富。小名浜の操業停止が長引けば、他社への委託なり、輸入という手法もあった。
 被災してから操業の可否を判断するまでに時間を要し、復興計画が発表されたのが4月中旬。製剤工場である平塚は順次操業を再開していたが、安定操業に入ったのが同月であった。オルメテックの生産の主力は小田原。小名浜がむしろサブという比率だった。懸念は発酵法で製造されるメバロチン原薬だが、在庫などで製品需給に支障は生じてはいない。ただ生産再開は9月末を目指す、というように相当遅れる。前期決算での被災がらみの特別損失は約55億円だった。
 アステラス製薬は、西根の製剤、高萩の原薬製造が停止した。西根は4月6日から全面的に操業を再開できた。高萩には合成研究センター、技術センターがある。研究センターは6月に全面復旧を予定している。操業再開が遅れるのは、技術センター。
 同センターでの製造品目は、排尿障害改善薬ハルナール、骨粗しょう症治療薬ボルテオなどの原薬。完全復旧までにはまだ数カ月を要し、10月から順次生産を再開していく予定だ。ただ製品も含めて十分な在庫を持ち、供給問題は生じていない。
 同社は、つくばの研究センターも内装が損傷したが、研究業務は滞りがなかった。工場、研究所、研究設備などの修繕、修理、操業停止などによる被害額は約45億円。前期決算で約30億円を特別損失に計上した。
 両社の完全な操業再開までまだ時間を要する。アステラスはアイルランドなど海外に原薬工場を持つ。第一三共には直接の海外生産拠点がない。両社ともグローバルなサプライチェーン体制構築と効率化による製造拠点の統廃合を進めてきたが、今回の被災を受け、今後はリスク回避方策も検討することになろう。第一三共は、インドのランバクシーを含めてグループとしてグローバルに新たなサプライチェーン構造を築くことを検討し始めた。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.