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2011年06月16日 前へ 前へ次へ 次へ

海外事業の成功に不可欠な付加価値

 日本企業の成長戦略は、新興国を中心としたグローバル化の推進を軸に展開するだろう。ただ、国内生産の空洞化を防いで海外事業を強化するためには、特徴ある技術開発を進めながら、提案力やサービスなどで付加価値を高めることが求められている。この点では、ドイツの中堅・中小製造業は付加サービスを武器にしており、日本企業にとっても参考になろう。日本でも非製造子会社を設立して海外事業を展開している企業ほど収益力が高いことが経済産業省の分析で明らかになった。
 リーマンショック後の世界同時不況のなかで、ドイツ経済の順調な回復が伝えられている。ユーロ安が輸出の追い風になっているが、中小企業を含め製造業の競争力が経済を支えている。富士通総研のマルティン シュルツ上席研究員によると、輸出依存度は2001年の35%程度から右肩上がりに上昇して一時的には50%近くになった。日本も自動車を中心とする輸出で景気回復を図ったが、リーマンショック直前でも20%を超えることはなかった。日独とも世界同時不況で輸出依存度が急激に落ち込んだが、ドイツは再び40%台後半に回復している。
 この要因は自動車などの有力企業にとどまらず、中小企業のグローバル展開が寄与していると指摘する。大半の中小企業は非公開同族会社で、必ずしもハイテク製品ではないものの、特化した事業を顧客と協力しながら技術革新を図ってきた。この製品を、絶えずサービスを意識しながらグローバルに展開している。ドイツ独自のイノベーション戦略が競争力の源泉になっているという。
 日本企業は、国内市場の成長が見込めないなかでグローバル化を加速している。ただ、経産省の産業分析によると、非製造業を含むが、海外子会社を設立している企業(08年)は23%にとどまる。中堅・中小企業の収益力を強化するには、海外市場の開拓が必要とされているが、ドイツに比較すると遅れていることは間違いない。
 この分析でもう1つ注目したいのは、非製造子会社を保有している企業ほど輸出も含めて販売力を伸ばし、雇用の拡大や利益率も上昇していることである。これは自らのリスクで現地企業を活用して市場開拓に取り組み、提案やアフターサービスまで踏み込んで実行しているためとしている。顧客企業の指示に従って生産を目的とした海外進出では、国内生産の縮小や雇用の減少を引き起こす。グローバルに事業を展開する第一歩としては妥当ににしても、将来は現地における顧客開拓やサービスを視野に入れた戦略なしには海外事業の成功は見込めない。


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