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2014年12月15日 前へ 前へ次へ 次へ

転機迎えたポリエチレン(上) 生き残りかける国内各社

得意分野さらに尖らす

 原油安によりシェールガス・オイルの開発抑制の動きが広がるが、シェール由来の石化製品の競争力は揺らがない。北米でエタンクラッカーの建設計画が具体化し、安価なポリエチレン(PE)製品の足音がアジアへも聞こえ始めた。競争力のない汎用品がその波にのみ込まれるのは必至。国内のPE各社は得意分野の先鋭化や用途開拓で生き残りを図る。
(但田洋平)
    ◇ ◇ ◇
 千葉県市原市。プライムポリマーの姉崎工場で今月初め、直鎖状低密度PE(LLDPE)1系列がその役割を終えて稼働を停止した。稼働開始から30年。世界では汎用なら60万トン、付加価値系列でも30万トン設備が立ち上がるなか、6万トン設備は競争力を失っていた。「私が入社した年に立ち上がった装置。機械とはいえ愛着があり、現場の作業員の思いは察するに余りある」。停止現場に居合わせた浜田直士取締役エボリュー事業部長は表情をこわばらせた。
※自社技術で活路※
 この溶液法のC8LLDPE設備はDSMからライセンスを受けたもので、付加価値品の生産にも課題を抱えていた。「他社技術なので設計思想が分かりづらい。一層の作り込みや開発を進めるうえでは自社設計でないと限界がある」(浜田氏)。今後上市予定のメタロセンプラストマーは姉崎での製造も検討したが、自社技術の市原に落ち着いた。
 プライムはこれでPEの構造改革に区切りつけた。来春にはメタロセンポリマー「エボリュー」のシンガポール工場が立ち上がり、メタロセン触媒を活用した長鎖分岐型PE「エボリューE」など得意の触媒技術を生かし他を引き離しにかかる。
 PE内需は約350万トンで輸入品が120万トンを占める。シェール由来品は400万トン超輸出され、18年に150万トンがアジアに流入するとの見方が大勢だ。汎用フィルムやコルゲートパイプ、灯油缶などブロー成形品は競争力を一層削がれる。各社は規模争いを避け、得意分野を尖らす戦略だ。
 「これで2強とも対等に勝負できる」。NUCの佐藤啓喜社長は、来年初からサンプル出荷する超高圧電力ケーブルの被覆グレードに自信をのぞかせる。22万〜50万ボルトの超高圧帯域向けを作れるのはダウ・ケミカル、ボレアリス、NUCの3社のみ。ただ、加工特性で2社に劣り、最大市場の中国で後れをとった。開発品は素性をはじめあらゆる点で改良し、2強と同性能を実現したとの自負がある。「電線で負けたらうちに未来はない。2強に食らいついていく」(佐藤社長)。
※作り込みがカギ※
 リチウムイオン2次電池(LiB)用セパレーターなどに使われる超高分子量PE。約20万トンの世界市場でティコナやブラスケムなどが鎬を削るなか、旭化成ケミカルズは「サンファイン」で差異化を図る。同社の強みはグループでセパレーター「ハイポア」を製造すること。ポリマー自体に電池特性の向上が求められるなか、「我々自身がセパレーター屋なので電池メーカーから生の情報が手に入る」(井川裕史PE事業部長)。LiB向けでデファクトを勝ち取る構えだ。
 無添加、低臭などクリーン性を前面に押し出すのが東ソー。食品向けラミネートやアンプル、ボトルなど医療用途を注力分野に据える。期待の製品と位置付けるのが高温滅菌対応の輸液バッグ用メタロセン系LLDPEだ。121度C滅菌に対応し、国際標準に合致するため輸出も視野に入る。
 医療分野は時間もかかるが、信頼関係を深めたうえでどれだけ作り込めるかが重要だ。堤晋吾ポリマー事業部長は「各社とも差別化グレードの開発を急いでいるが、優劣のカギはいかに作り込み、カスタマイゼーションできるかだ」と強調する。
(続く)

【写真説明】構造改革で勝ち残りを目指す(プライムポリマーの市原・姉崎工場)


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