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インフラ老朽化対策 化学企業に商機(中)
材料+αで差別化
施工と一体、需要獲得狙う
化学企業は国内の老朽化対策で高まるインフラ関連需要の獲得を目指し、補修・補強や長寿命化に向けた製品を展開する。しかし、「材料では特徴を出すことが難しく、工法で勝負する必要がある」(化学企業の建設資材部門長)。このため、材料と施工方法の開発を強化する取り組みや体制を整備する動きが広がっている。
*外部と連携強める*
「セメント事業を持つ総合化学メーカー、トクヤマグループの強みを最大限生かす」と力強く語るトクヤマエムテックの五島勉社長。新材料・工法の開発を強化する目的で、トクヤマと共同で袖ヶ浦工場(千葉県)に「首都圏セメント建材開発センター」を来年1月に完成させる予定だ。
グループ間でシナジーを発揮した材料開発に加え、外部機関が持つ知見やノウハウなども取り入れる。周辺材メーカー、施工業者やゼネコン、NEXCO、国土交通省、大学など産官学と開発に着手する計画だ。
特定の施工業者と連携して事業を展開するのは旭硝子グループで繊維強化プラスチック(FRP)総合メーカーのAGCマテックス。「FRPに力を入れている宮地エンジニアリングと協業している」(柏女浄照取締役営業統括部長)。中核製品のFRP合成床版は、錆びにくさや、鉄の3分の1程度の比重の軽さを生かした工期短縮を可能にする特徴を持ち、2012年の関門トンネル補強工事に採用された。これを弾みに拡販を狙うとともに、鉄道関連の補修市場も開拓する。
化学メーカーが主導して施工業者を巻き込む取り組みもみられる。宇部興産は昨年、「UBEリニューアル工業会」を設立した。専門工事業者や建材店など90社以上が加盟しており、自社の製品を用いた工法の普及や会員の技術向上を目指している。
同社は、コンクリート補修・補強材事業でグラウト材や断面補修材を中心に展開する。製品にとどまらず、鉄骨ブレースを用いた建物の耐震を補強するデザインフィット工法など工法開発にも取り組み、適用拡大に力を入れている。
*社内の人材強化も*
施工業者だけでなく「社内の人材強化も重要で、担当者にコンクリート診断士の資格取得を促している」(建材事業部営業推進部・川島裕之部長)。技術系だけでなく経験豊富な営業員も対象だ。プロフェッショナルな人材を育成し「施工業者との円滑なコミュニケーションにつなげる」(同)狙いもあるという。
電気化学工業の白山裕特殊混和材部長は「調査・診断機能を持つ子会社を含め補修工事の受注から施工まで一連のソリューションを展開している」ことが強みだと説明する。コンクリート構造物の寿命化を実現する特殊混和材事業で、早くから新技術・材料の開発や施工技術の高度化を図る体制を整備。1999年に「テクノクリート/施工研究会」を設立した。ネットワークが広がっており、全国に補修・補強技術を提供している。
膨張材、急結剤、高強度材など幅広い製品を揃え、鉄道関連の補強工事では豊富な採用数がある。今後は土木・建築物の剥落防止工法「デンカワンステップガード工法」を軸に、道路補修分野を開拓する。
同社は工業用接着剤「ハードロック」を土木・建築市場に普及させた実績がある。今年4月に完成した新たな研究拠点「デンカイノベーションセンター(東京都町田)を起点に他部門との連携や新製品・工法の開発を推進する」(同)方針で、市場での存在感を一層高めていく。
(続く)
【写真説明】
宇部興産のコンクリート構造物断面修復用モルタル「U-アシテクト」の適用拡大を目指している(写真は施工風景)