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2014年10月21日 前へ 前へ次へ 次へ

無限の化学 ~ 先進社会への貢献 ~ (2)【健康】

先端技術を結集、世界で高いシェア

 世界でも例をみない超高齢化社会を迎える日本においては、化学技術の進歩を通じた医薬・医療・介護などの進展が大きく求められる。いかに健康で快適な社会を作り上げていけるか。先端ニーズに合致した素材を提供する化学への期待はますます高まりつつある。

 注目が集まる再生・細胞医療分野。万能細胞のうち実用化に向けた取り組みが一挙に進んだのが、京都大学・山中伸弥教授が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作成に成功し、2012年にその成果によってノーベル医学・生理学賞を受賞してからだろう。
 細胞の培養は、もともと生化学分野の得意とするところだ。培地や試薬、容器などの消耗品、細胞調製や加工に使われる細胞培養機器、細胞の品質検査機器といった周辺分野でも化学技術の活躍が期待される。実際、多くの化学企業、製薬企業などが再生・細胞医療分野での事業化機会を狙っており、一部では具体的な取り組みも開始されている。
 医療機器の多くには化学メーカーが開発した素材が用いられている。その中でも、腎機能が弱まった患者の透析治療に使われる人工腎臓(ダイアライザー)は膜技術に強みを持つ日本の化学メーカーが手掛けており、世界でも大きなシェアを持っている。
 注射器、輸液バッグ、血液バッグなど一般的な医療機器の多くでは、医療感染を防止するためにディスポーザブル(使い捨て)化が進んでいる。化学メーカーによるプラスチック素材の大量生産にともなう低価格化や、成形加工技術の発展などがディスポーザブル化に大きく貢献しているといえるだろう。
 また、心臓や腎臓など臓器の機能を代替する目的で作られた人工臓器は、長期間体内で正確に動き続けるために、さまざまな工夫が必要だ。そこには大学の研究者と化学メーカーが共同開発した最先端素材が活用されている。
 心臓の動きを助ける補助人工心臓(VAD)には体外設置式と体内埋め込み式があり、日本で最初の体外設置式VADを東京大学と共同開発したのが化学メーカーの日本ゼオンだった。現在、国内で唯一使用されているニプロ社の体外設置式VADも国立循環器病センターと東洋紡が共同開発したものだ。
 日本でも11年に、テルモの「デュラハート」とサンメディカル技術研究所の「エヴァハート」が上市されており、体内埋め込み式が主流になりつつある。エヴァハートの遠心ポンプの内部には、東京大学の石原一彦教授らが開発し、日油が製品化した「高分子MPCポリマー」がコーティングしてある。生体が拒絶反応を起こしにくいよう生体膜と類似構造を持たせたポリマーで、長期間使用しても血栓ができにくくしている。
 中空糸膜の素材には再生セルロース、セルローストリアセテートなどのセルロースやポリスルホン、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどの合成高分子が使用されている。人工腎臓は旭化成、東レなど化学メーカーが繊維やケミカル分野で培った膜分離、中空糸膜技術を応用して自社で製品化しており、グローバルでも大きなシェアを有している。
【写真説明】超高齢化社会を迎える日本。化学技術の進歩が貢献する


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