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グローバリゼーションの影と光
30年以上前、地方から上京して安アパートに住んでいた学生時代、マンションや戸建て住宅を見てはよくため息をついた。いつかあんな所に住めるようになるのだろうかと、まぶしく眺めていた記憶がある▼時は流れて、なんとか郊外に家を持てた。賃金上昇と、諸物価の下落ないし安定、住宅ローンの超低金利のおかげだ。しかし、もしグローバリゼーションが今ほど進んでいたら、自分の今の経済状況はあり得たのか▼『グローバリズムが世界を滅ぼす』(文春新書)を読んでそう感じた。エマニュエル・トッド氏は、過度な自由貿易、グローバリズムは経済格差の拡大を肯定すると指摘し、賃金を単なるコストと見なし、競争のためには賃金カットを厭わず社会を歪めると警鐘を鳴らす▼では、なぜ経済格差を解消しようという動きが本格化しないのか。高齢化した最先進国では、民衆階層の退職年金生活者の生活水準が上がり、貧しかった頃に比べ"信じがたいほど"高く感じられており、こうした世代が政治システムを広範に支配しているからだという。また、国民がそもそも平等を信じなくなりつつある問題も指摘している▼TPP交渉にともなう日米閣僚会談が物別れに終わった。年末にかけて大筋合意できるかが焦点となる。アンチTPPの論客の気炎も上がるだろう。