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2014年09月12日 前へ 前へ次へ 次へ

TIAを産学官連携の成功モデルに

 研究開発の成果を生かし、新しい事業創出に向けたオープンイノベーションの重要性が指摘されて久しい。日本は革新的ベンチャー企業が少なく、企業は自前主義の技術開発に陥りがち。このため世界規模に広がっているイノベーション競争に立ち遅れるのではないかという危機感が高まっている。日本型オープンイノベーションを目標に、2009年に動き出した「つくばイノベーションアリーナ ナノテクノロジー拠点(TIA―nano)」の第1期5カ年が終了した。わが国のお家芸であるエレクトロニクス関連研究で成果を生み出す一方で、第2期で取り組むべき課題も浮かび上がっている。
 TIAでは、情報電子分野のみならず環境・エネルギー、ライフサイエンスなど世紀のイノベーションを牽引するナノテクノロジーの研究開発、人材育成を目的に開設された。つくば地区を拠点にする公的研究機関の産業技術総合研究所、物質・材料研究機構、高エネルギー加速器研究機構に筑波大学、産業界が参加して産学官の連携研究に着手した。
 研究コア領域はナノエレクトロニクス、パワーエレクトロニクス、カーボンナノチューブなど世界で激しい競争が繰り広げられている6つ。日本が先行してきた分野だが、欧米のみならず新興国の追い上げを受けている。研究機関のタテ割り、企業の自前主義、大学の内向き指向などを打破しないと、これからの事業化、産業競争力向上を阻害しかねない。
 ナノテクは原子、分子を制御する技術で、微細な材料や部品への展開のみならず、サイズを小さくすることで不連続な特性変化が見込まれ、イノベーション創出の可能性を秘めている。第1期では炭化ケイ素パワーエレ、グリーン・ナノエレなどで優れた研究成果があった。
 これまでは公的研究機関の研究者が引っ張ってきたが、産業化には企業研究者との連携が重要性を増す。産業界の関心も高く、プロジェクトに数多くの研究者が参加しているが、知的財産権の取り扱いや技術情報の漏洩を懸念する声も根強い。
 日本が国際競争に勝ち残るには、公的研究機関を中核にしたオープンイノベーションが有効な選択肢であることは間違いない。TIAは産業界の懸念を払拭するとともに、スピード感を持った産業展開、技術や製品が世界の標準になるような取り組みを強化しなくてはならない。このほか、分析や試作など研究支援体制を強化、大学と研究機関を兼任できるクロスアポイント制度の充実、外国人研究者の増員によるダイバーシティも積極的に進めてほしい。


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