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2014年08月21日 前へ 前へ次へ 次へ

人と話題 住友化学執行役員人事部長 芳野寿之氏

グローバル展開を見据え中国、インドを中心とした外国籍社員の育成に力
将来見据え人材に先行投資

 2014年4〜6月期決算で海外売上高比率が初めて6割を突破した住友化学。中東の石油化学拠点の第2期案件や農薬の国際展開など今後も海外を軸に成長を描くなか、海外事業を担う人材の確保の重要性が一層増している。将来、日本人の労働人口は減るうえ理工系学生の増加は見込みにくい。そこで同社が将来のグローバル展開の支柱の一つとして期待をかけるのが中国やインドを中心とする外国籍社員だ。 人事部長の芳野寿之執行役員の前職は総合企画部長。4年前に設備投資からヒューマン・リソースの世界へと移った。「私のミッションは国籍、性別を問わず優秀な人材を確保・育成し、グローバル展開を支えるべく人材のダイバーシティ(多様性)を進めること」と話す。

 住友化学における日本人社員の海外勤務は現在約340人。「長期間、定住して働ける日本人社員はそんなに多くいない」。交代要員の確保や海外拡張計画を踏まえると日本人だけで海外子会社をマネジメントするのは困難になってきた。
 「日本のエンジニアの卵が減っている」ことも海外人材に目を向ける背景。同社の海外進出には製造が伴い、機械設計や電気制御に対する専門知識は欠かせない。日本の工学系学部の志望者は現在、ピーク時に比べて半減した一方、国家戦略として高等教育機関の整備を進める中国やインドには「高度経済成長期の日本のように工学系学生が豊富。長期的に安定した人材ソースになり得る可能性がある」。
 海外大学からのグローバル採用に取り組み始めたのは08年度から。その前年度には海外からインターンシップを受け入れ、今年度はJSTの海外人材交流事業にも参画する。技術系では中国やインドを中心に海外大学から毎年15人前後を採用し、11年度からは事務系にも枠を広げている。留学生も含めると今年度までの採用実績は138人にのぼる。
 海外大学から採用された外国籍社員は職場配属前に東京で日本語研修を3〜5カ月間行うほか、「住友化学のシェアードバリューとも言える当社のビジネスに対する精神、経営理念を教育」し、共通の価値観を醸成する。日本人新卒者対象の集合研修にも合流させるなど処遇に差はなく、むしろ日本人社員のグローバル化を促すという重要な役割も担っている。
 海外人材の本格採用から6年、頭角を現す社員が出てきた。サウジアラビアの石油精製、石油化学コンビナートであるペトロ・ラービグ事業には中国人技術者2人を派遣し、シンガポールの低燃費タイヤ向けゴム原料の新工場建設にも外国籍社員が活躍した。逆に、ホームシックになる社員も。今年3月には外国籍の全社員を東京本社に集めた交流会を開き、人事部担当常務が外国籍社員への期待を明確に伝え、モチベーションを高めるフォローアップにも取り組んでいる。
 こうした人材への先行投資は「08年以降、トータル経費の節減を図りつつも増加させてきた」と芳野さん。「確かに(投資効果が)還ってくるのは新卒外国籍社員の場合、日本人新入社員よりも時間はかかる。ただ日本人の労働人口が減少すること、当社事業のグローバル展開は、ますます拡大することを考慮すると、今からやっておかないと」と話し、「彼らは必ず将来、住友化学にとって大きな財産になると確信している」と語る。



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