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エンブラメーカー 加速する海外展開(下)
ミドル品市場にも狙い
エンプラメーカーはこれまでアジア市場で、日系の自動車メーカーや電気・電子メーカー向けにハイエンド品を供給してきた。最近はアジアローカル顧客への供給も増えつつある。「中国のミドル品市場は、もはや無視できない規模に拡大した」(ポリプラスチックス)ことなどが要因だ。また、スーパーエンプラのポリフェニレンサルファイド(PPS)をアジアで重合から一貫生産する動きも出始めた。
*現地顧客に供給
ポリプラスチックスは今年初頭、マレーシアでポリアセタール(POM)の第2期プラントを稼働させ、現地生産能力を・3万トンに引き上げた。新プラントの武器は世界ナンバーワンのコスト競争力。狙うのは中国をはじめとするアジアのミドルエンド市場だ。同社は従来、最も付加価値が高いハイエンド品を日系顧客を中心に供給してきた。一方で成長著しいアジアのミドルエンド市場も重視。マレーシア品でシェア拡大を狙う。
東レは昨年、コンパウンド工場を稼働させた中国子会社・東麗塑料(成都、TPCD)を拠点に中国内陸部市場の開拓を本格化させている。すでに西安(陝西省)や重慶、貴陽(貴州省)、昆明(雲南省)などに営業拠点を設置。ローカル企業を中心にナイロンやPPS、PBTなどの需要掘り起こす。内陸部には沿岸部のようにディストリビューターや商社がいないため、同社自らが地道に営業活動を行い、未知の市場を開拓していく。
一方、高機能エンプラのPPSをアジアで事業化するメーカーも増えている。PPSはエコカーを含む自動車用途の需要が拡大。世界需要は20年頃にかけて年率7〜8%の高い伸びが見込まれ、エンプラの中で最も成長率が高いとされる。全体規模はまだ小さいながら、中国では2ケタ成長が続く見通しだ。
*一貫工場で対応
東レは現地子会社を通じ、韓国・群山にニートレジンとコンパウンドの一貫工場を建設する。レジンの年産能力は8600トンで、2016年4月の稼働を目指す。現地ではコンパウンドを先行して立ち上げ、15年秋に製品出荷を始める。
DICは15年中に、中国・江蘇省で年産6000トンのコンパウンド工場を新設する。また18年度以降、年産1万〜2万トン規模の工場を海外に設置することを視野に入れる。東南アジアを軸に立地先を検討中だ。
帝人は韓SKとの合弁で、韓国・蔚山で年産1万2000トンの連続重合プラントを建設し、PPS市場に参入する。15年10〜12月期に稼働させる計画。SKの重合技術と帝人のコンパウンド技術を組み合わせ、20年度までに世界シェア20%の獲得を目指す。
ここ数年、原料高や競争激化に苦しんだポリカーボネート(PC)メーカーもアジアで反転攻勢に出る。帝人は昨年から今年にかけ、シンガポ―ルPC工場の生産ラインを2本停止。同工場をコンパウンド原料のパウダー製造拠点と位置付け、販売戦略を見直す。パウダーは関税が撤廃される見通しの欧州に出荷するほか、中国や日本などの拠点でコンパウンド化し負荷価値を高める。またこのほど、タイ・バンコクにも営業拠点を開設。同国の自動車部品市場に本格参入する。
三菱ガス化学は上海工場で、透明性の高い光学用特殊PCの生産に乗り出す。このほど量産体制の構築を完了、スマートフォンの導光板向けに供給する。同工場では特殊品比率を3分の1に高め、収益構造を改善したい考え。
(中村幸岳)
(了)
【写真説明】
東レは中国子会社の東麗塑料を拠点に中国内陸部市場の開拓を本格化させている