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2014年08月13日 前へ 前へ次へ 次へ

自動車部材 飛躍の好機「エコカーを支える」20インフラ整備急げ(既報)

水素社会に向け第一歩
インフラとクルマは"両輪"

 タマゴが先か、ニワトリが先か-。新たな製品が誕生した際、それを活用するためのインフラ整備の問題で、この言葉が必ず持ち出される。普及が始まった電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の電動車両用充電器と、燃料電池車(FCV)用の水素ステーションの構築も、この問題に直面している。しかし、タマゴとニワトリは、まさにクルマの両輪。どちらも欠かすことのできない存在だ。

*普及へ動き活発
 電動車両の普及に向け充電インフラ構築の動きが本格化している。トヨタ自動車と日産自動車、ホンダ、三菱自動車の4社は5月、共同出資で日本充電サービスを設立。充電器設置や維持にかかる費用を支払う仕組みを確立した。販売台数に占める電動車両の割合として政府が2030年目標を20〜30%と定めるなか、自動車メーカーが車両開発とインフラ整備を進めている。
 また、企業独自の仕掛けも目立つ。日産は8月、EVの普及促進に賛同する企業と協力し、「電気自動車通勤奨励プロジェクト(ワークプレースチャージング)」を開始。従業員が通勤用にEVを使用できるよう、各社の事業所内に充電器を設置するなどの支援策を展開する。普通充電器でトップシェアのパナソニックは観光地向けの提案を強化中。神奈川県箱根町に同地域を舞台にした人気アニメ「ヱヴァンゲリヲン」とコラボレーションし、人気キャラクターをモチーフにした専用充電器を設置している。
 EV・PHV用充電器は、普通充電器と急速充電器の2タイプがある。「それ自体では差別化が難しい製品」(充電器メーカー)とするが、付加価値の高い充電器も登場している。
 GSユアサは、太陽電池(PV)とLiBを組み合わせた急速充電システム「PV-EVシステム」を展開中。PVで発電した電力をLiBに貯蔵、蓄えた電力でEVに急速充電するほか、停電時の防災型電源として利用する。関連製品では三菱電機がPVとEVなどの容量の大きい蓄電池を連携して制御する「PV・EV連携パワコン」を開発。EVから家への給電に加え、PVからEVへの充電を可能にした。HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の構成機器として本格的な投入を開始する。
 一方、FCVでは20年代での本格普及に向け、政府も支援に乗り出す。菅義偉官房長官が「補助金導入、水素ステーション整備などにより(普及を)後押ししていきたい」と語るように、積極的な振興策が打ち出される見込みだ。本格普及に先立ち、岩谷産業は日本初の商用水素ステーションを兵庫県尼崎市に開設。「水素を安定供給するインフラ整備に注力したい」(野村雅男社長)と意気込む。JX日鉱日石エネルギーは10月1日付で、水素事業運営会社「ENEOS水素サプライ&サービス」を設立すると発表。固定式のほか、移動式水素ステーションの運営を行っていく。

*部材提案も進展
 水素ステーション向けのシステム・部材提案も進む。帝人グループの帝人エンジニアリングでは、水素貯蔵タンク向けに繊維強化プラスチック(FRP)製圧力容器を提案。水素吸蔵合金を手掛ける日本重化学工業では汎用型の定置式水素貯蔵システム開発を強化する。
 「15年は水素元年」。自動車各社がFCVを投入する15年を、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長がこう表現する。ただ、家庭用燃料電池の誕生を「ホップ」とするならば、FCVの登場は「あくまでもステップに過ぎない」という。目標となる「ジャンプ」は水素社会の実現だ。「再生エネルギーを最大限活用しつつ、新たな社会システムとして水素エネルギーを導入したい」と話す。FCVやEVは単なるクルマにあらず。水素社会のキーデバイスになる。
(了)
(加藤木学)

【写真説明】
7月に行われた岩谷産業の水素ステーション開所式の様子。商用としては国内初。水素社会実現に向け大きな一歩となる


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