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2014年07月18日 前へ 前へ次へ 次へ

機械業界はブランド力で収益向上を

 為替が円安基調で推移し、輸出企業は価格競争力を高めるなか、それにともなう副作用も懸念されている。とくに中国で事業展開する総合重機・機械メーカーは、自動車関連産業をターゲットに製造装置市場でシェア拡大を続けているが、円安による弊害も顕在化しつつある。
 日本の総合重機・機械メーカーはここ数年、超円高で苦しんできた。「アベノミクス」効果で、2013年からは円安に転じ、その基調が定着した。日系製造装置の輸出した現地価格は低下、これに中国の自動車生産年間2000万台達成が加わり、割安感のある日系の製造装置の需要を押し上げている。
 一方、急速な円安はさまざまな副作用がともなう。中国の日本人駐在員は所得減が強いられ、経済的負担が増す。都市部を中心に急激なインフレ基調ものしかかる。これに本社から経費削減要請もあり、駐在員にとって"三重苦"が襲う。本社では、こうした駐在員の苦労をほとんど知らないようだ。
 長期的にみると、政府による通貨安政策で産業が発展したケースはほとんどないことを認識すべきだ。通貨安は輸出企業の収益を回復させることは確かだが、国際競争力向上には直結しない。わが国は1971年の為替変動相場制の移行、いわゆるニクソン・ショックを契機に円高基調が続き、労働集約型の産業構造を変革してきた。戦前の繊維など軽工業中心から自動車、電子、産業機械などにシフトし、世界的な高品質の代名詞「メード・イン・ジャパン」のブランド定着に成功した。
 円安基調の容認は、自国通貨の毀損でもあり、ブランドイメージの失墜につながりかねない。一時的に価格競争力は強まるものの、一度失った信用を立て直すには、一般に「最低10年が必要」と言われており、その弊害は無視できない。
 日系製造装置メーカーは、中国市場向け廉価版の機械を投入し、シェア拡大を目指す方針だ。これは企業としては当然の戦略だが、一歩間違えると長年築きあげてきたブランドイメージを失うリスクを負う。各社は高機能グレードと、汎用グレードを分けて展開する考えだが、顧客は混乱するかもしれない。コストを切り下げた廉価機種に対し、既存機種と同じようなアフターサービスができるかなど疑問が残る。
 近い将来、政府の為替政策や国際情勢の緊張などから円が買われ、価値が上昇する可能性も否定できない。日本の製造装置メーカーは、円安に安住することなく、価格競争に頼らないハイエンド領域において技術革新を図り、市場でのプレゼンスを高めるべきではないか。


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