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2014年07月16日 前へ 前へ次へ 次へ

日系機械各社の新規分野挑戦に期待

 佐竹化学機械工業が動物細胞培養に適する撹拌装置を開発した。バイオ医薬関連の製造装置は現在、欧米機械企業が世界市場をほぼ独占しているが、新たな「メード・イン・ジャパン」製品として存在感をみせてほしい。製薬関連のみならず、航空機や海洋開発など先端領域の装置開発は欧米系がリードするケースが多い。日系機械各社は新規分野への取り組みを強化して、長期的な視野に立った成長戦略を加速すべきではないか。
 製薬業界では有機合成反応による新薬開発の技術的限界が明らかになり、バイオ医薬の開発競争が激化している。国内で調達できる製造装置に対するニーズが高まっているが、現状は欧米系企業が世界市場を独占し「なぜ日本の装置メーカーは製品開発に挑戦しないのか」と嘆く製薬技術者は多い。
 佐竹化学機械が開発した動物細胞培養に適する撹拌装置「ブイムーブ」は、培養装置内にある楕円形状の撹拌機が回転せず、上下動することで、撹拌作用を得る仕組み。国内で実証テストを始めるが、将来は海外市場も視野に入れている。バイオ医薬の先進国である米国では、回転翼による撹拌機が一般的だがロスも多い。これに対し開発品は外力によるダメージがなく、大量培養が可能。将来は人工多能性幹細胞(iPS)など再生医療分野でも有望だろう。
 他の有望分野でも同様のケースがある。次世代の有力分野である航空機産業でも欧米系企業の優位は圧倒的だ。三菱航空機が初飛行を計画している次世代リージョナル旅客機(MRJ)でも、装備品は大半が外国製で、国産品は少ない。
 自動車産業は先進国中心から新興国にシフトし、コモディティ化が確実に進行する。参入ハードルが高い航空機産業はわが国にとっても重要な産業とみるべきだ。中部地域の自動車部品産業は航空機に本格参入を目指す動きがあり、装置企業の事業機会も期待できるだろう。
 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の最新鋭調査船「白嶺」に搭載する掘削装置、各種の調査機器は日本製がほとんどない。
 なぜ、次世代の成長産業で国産の製造装置が少ないのか。業界によって異なるにしても日本企業のベンチャー精神が弱いという指摘は否定できない。日本の家電、半導体、液晶パネル、パソコンや携帯電話など情報通信機器業界はアジア勢の後塵を拝している。自動車も台数ベースでは中国が断然リードしている。日本の装置メーカーは、国内大手・優良顧客だけに頼らず、アジアを含め成長分野に挑戦することで、世界市場におけるプレゼンスを高めてほしい。


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