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中国の設備過剰 解決進まず
国産化進み構造不況
規模拡大の競争原理根強く
【上海=白石孝祐】中国の産業に共通する設備過剰問題が化学工業でも広がり続けている。2000年代半ばまでの品不足・輸入依存から、急速に輸入代替を目指す国産化が進み、今や設備乱立が構造的不況を招いている。業界団体が注意喚起しているものの、とくに民間資本では「需給バランスや中長期的見通しよりも、規模拡大で目下の競争を勝ち抜こうとする」(市場関係者)中国特有の論理も根強く、問題の解決は容易でなさそうだ。
*輸入量減に拍車
2000年代半ば、国内生産量と輸入量が拮抗すると予測されていた中国の高純度テレフタル酸(PTA)。12年以降は輸入量の減少に拍車がかかっている。11年の約537万トンから12年は約419万トンへ、13年はほぼ半減して約213万トンとなった。14年1〜5月は約51万トンで、前年同期の約半分。背景には国内生産能力の大幅な拡大がある。
13年末時点の中国のPTA総年産能力は約3200万トン程度。急速な能力拡大と国内の原料パラキシレン(PX)不足もあり、すでに13年の時点で「多くのメーカーが採算面で厳しい状況に直面」(市場関係者)している。
それでも新増設計画は止まらない。14年は合わせて年1000万トン分強のプロジェクトが完成予定となっている。
クロルアルカリはPTAより早い段階で設備過剰が指摘されていた。カ性ソーダ、塩化ビニル樹脂(PVC)はここ数年の平均設備稼働率が低迷を続け、業界団体でも再三にわたり警鐘を鳴らしている。
カ性ソーダは13年末時点での生産能力が前年比110万トン強増加した。隔膜法を中心に設備閉鎖が行われたものの、それを上回る新規設備立ち上げがあったため。
*市況は弱含みに
アクリル酸も各地での増設計画を背景に市況が弱含んでいる。今年はこれまでに揚子石化-BASF有限責任公司(南京市、BASF-YPC)が年産16万トン設備を稼働入りさせたほか、浙江衛星も同16万トン設備を浙江省平湖市で立ち上げた。遅れていた台湾炎洲集団傘下の万洲石化(江蘇省南通市)も同8万トンが稼働を開始している。
中国国内のアクリル酸総生産能力は、11年末の約120万トンから13年には同180万トンへと増加した。原料プロピレン市況は比較的高い水準にあるが、足元のアクリル酸需要は力強さを欠いており、中国メーカー各社にとっては厳しい状況。
中国は世界の化学産業にとって最重要市場の1つとなっており、能力拡張の影響は中国国内にとどまらない。
中国石油・化学工業連合会では13年末から今年初にかけ石油精製、クロルアルカリなど設備過剰が深刻な8業種に関する報告をまとめ関係省庁に送付した。
省エネルギーや環境対策を強力に推進する中国政府としても、設備過剰は看過できない課題。現在は鉄鋼、板ガラスなどで15年までの設備淘汰目標を前倒しするよう指導している。
*民間の誘導課題
ただ、「中央政府からすると、化学工業は規模的に優先順位が高いとはいえないのではないか」(市場関係者)との見方もある。同時に化学工業における設備過剰分野は、その多くは民営企業が主役となっている。計画経済で成長を遂げてきた中国に、民間の設備投資をどのように誘導し調整していくのかという難題が投げかけられている。
【写真説明】
アクリルチェーン増強策を進めるBASFは南京でアクリル酸、高吸水性樹脂(SAP)の新設備を今春稼働させた。引き続きアクリル酸ブチルを増設中