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2014年06月19日 前へ 前へ次へ 次へ

自動車部材 飛躍の好機2 「軽量化を究める」 CFRPの1

画期的カーボン構造車
課題の高コスト吸収へ工夫
 「多くのメーカーがショックを受けただろう」と、BMW「i3」のインパクトを語るのは名古屋大学が設けた複合材料の産官学連携開発施設「ナショナルコンポジットセンター」(NCC、名古屋市)の石川隆司センター長。熱可塑性樹脂をマトリックス状にした炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)のプレス成形品を自動車に適用しようと、関連技術の開発に取り組んでいるのがNCC。熱可塑性樹脂を使うことにより成形コストや成形時間のブレークスルーを狙っているが、BMWが熱硬化性樹脂をベースにしつつ、500万円程度の価格でCFRPを大量に使用した乗用車を発売にこぎつけたことにNCC自身も相当の刺激を受けている。
 鉄やアルミニウムよりも強く軽くできるカーボン素材は輸送機器にうってつけ。ボーイングが「787」に東レのプリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)を採用したのが典型例。自動車にも炭素繊維は最適とされているが、航空機と異なり数百万台もの大量生産に対応する適切なプロセス技術が欠かせない。この量産技術が開発途上にあることから、トヨタ自動車の「レクサスLFA」(2010年発売)のようなプレミアムカーに適用が限られている。LFAは多様な成形方法のCFRPを盛り込んだハイテク車だが、500台の限定で価格も3750万円と、実験車の色彩が濃い。
*1台100キログラム使用
 i3が画期的なのは炭素繊維を1台当たり100キログラムも使用し、しかも電気自動車(EV)でありながら比較的リーズナブルな価格を実現していること。シャーシにはアルミ合金、ステアリングビームはマグネシウム合金など軽量金属を多用して総重量を1260キログラムに抑えている。
 同車のCFRP成形方法は、レジントランスファーモールディング(RTM)。あらかじめ必要な形状に切断した炭素繊維プリプレグを予備成形してプリフォームを作成。その後、型内にセットして樹脂を流し込み硬化させるものだ。
  i3のCFRPに使う原料供給には三菱レイヨンが深くかかわる。合弁会社「MRC-SGLプレカーサー」が広島・大竹事業所で炭素繊維原糸(プレカーサー)の量産を行っている。これは割安な「ラージトウ」原糸であり、これを米国ワシントン州モーゼスレイクにある独SGLテクノロジーとBMWの合弁「SGLオートモーティブカーボンファイバー」に出荷、焼成して炭素繊維に仕上げている。この合弁会社は15年をめどに現状比3倍となる年産9000トン体制に急拡充する見通し。
*性能は原糸次第
 三菱ケミカルホールディングスはPAN系とピッチ系の両炭素繊維を扱う世界で唯一の企業で、ロボットアームやゴルフクラブのシャフト用などと品揃えは豊富。「性能はプレカーサーで決まる」として、BMW向けプレカーサー生産拠点である大竹工場はブラックボックスの扱いとなっている。
(続く)

【写真説明】初めてCFRPを自動車の量産に適用した。炭素繊維強化樹脂の製造プロセスを工業化することで経済性を実現している
上はBMW「i3」の工場内部



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