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電力コスト低減と安定供給は急務だ
電力コストの上昇に歯止めがかからず、産業界の危機感が一段と高まっている。5月末に緊急要望を表明したのは日本ソーダ工業会、日本産業・医療ガス協会を含む電力多消費産業10団体。先週末には経団連など経済3団体首脳が安倍首相を訪ね、原発の早期再稼働を含め電力コストの低減と安定供給を求めた。日本経済の持続的成長の基盤となる問題だけに、政府の決断が待たれる。
「電力多消費産業の事業存続のための緊急要望」に名を連ねたソーダ業界は、生産コストの約4割が電力コストだけに、かねてから電力問題に対する関心は高い。大手を中心に石炭などの自家発電で約6割を確保しているが、中小事業者や都市近郊の生産拠点では買電に依存せざるを得ない。
工業会の試算によると、原発事故後に電気料金を値上げした東京電力など7電力会社のコスト負担分だけで約51億円になる。加えて円安や化石資源の国際価格の上昇を反映した「燃料費調整額」の負担が53億円上乗せされ、合計104億円のコストアップという。事業収益の悪化のみならず、ユーザー産業の競争力にも影響を与えている。
産業・医療ガス産業は自家発比率が低く、購入電力量は全国で約億キロワット時、値上げした7電力に限っても52億キロワット時になる。燃料費調整額を加えた電力コスト上昇は約250億円と企業努力の限界を超えている。
半導体のほか、太陽光発電用素材でもある高純度多結晶シリコンを中心とするシリコン製造業も、電力コスト上昇で厳しい環境が続く。燃料費調整額を加えた負担増は約210億円に達するが、海外企業との国際競争が激しくコストアップ分の価格転嫁は極めて難しい。
10団体以外にも電力コストの上昇に悲鳴を上げている業界は多い。中小企業が圧倒的に多いプラスチック加工業界は、ほとんど買電に依存している。全日本プラスチック製品工業連合会は四半期ごとに会員企業の業況調査を実施しているが、多くの企業から原料樹脂の値上がりとともに、電気料金値上がりに不安が寄せられている。加工業界の収益力低下は、川上の石油化学メーカーに与える影響も無視できない。
政府は4月、エネルギー基本計画を閣議決定して「責任あるエネルギー政策を再構築するための総合的政策の基本方針」と強調した。しかし「重要なベースロード電源」と位置付けた原発を含め、具体的な電源構成は現在も示していない。「日本再興戦略」を推進するためには、原発再稼働も含めて電力の安定供給・コスト削減が避けられない課題と認識すべきである。