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2014年06月16日 前へ 前へ次へ 次へ

絶滅の危機に瀕する鰻

 データや根拠があるわけではないが、70代、80代の年配者には鰻好きが多いという印象がある。何人かに聞いてみたら同調者が多い。もちろん食べ物の好き嫌いだから、誰もがみんなということではない。絶対に食べないという人もいるだろう▼昭和の時代(あるいはそれ以前も)には、来客があったときの出前の定番だったし、親戚の集まりや家族の外食などでも利用してきた。年配者が好むのは、その世代にとって最も身近な"プチ贅沢"メニューのひとつだったからでもある▼その鰻が危機に瀕している。国際自然保護連合(IUCN)は、日に発表したレッドリストの最新版で、ニホンウナギを「絶滅危惧種」に指定した。「近い将来、野生での絶滅の危険性が高い」という評価だ▼ならば養殖頼みとなるが、卵からの完全養殖はまだ研究レベル。養殖ウナギもすべて天然の稚魚から育てられている。その稚魚の漁獲が激減している。ヨーロッパウナギは6年前から絶滅危惧種。ワシントン条約で規制対象になっている▼危惧種指定ですぐに何かが変わるわけではない。が、放置すればどうなるかが科学的に示された。これを警鐘として抜本的な対策に取り組みたい。名店は客の注文を聞いてから鰻を捌くから、料理が出るまで時間がかかる。料理はそれでいいが、保全対策に時間の猶予はない。


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