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2014年05月19日 前へ 前へ次へ 次へ

強い高機能事業を武器に反転攻勢へ

 化学大手の企業業績は着実に改善している。一方で、新たな成長に向けた課題も浮かび上がってきた。業績の足を引っ張ってきた合繊原料に代表されるモノマー系基礎化学品の構造改革が進んでいるが、縮小均衡に陥らないためには国際競争力のある高収益事業の強化を急がねばならない。とりわけ、日本企業が強い材料・部材に磨きをかけて新たな市場を創出するとともに、グローバルに展開することが迫られている。
 化学産業を取り巻く環境変化は激しい。2008年のリーマン・ショック後の不況を他産業に先駆けて脱却したのは、中国など新興国の基礎化学品需要の急成長とともに国際市況上昇が追い風となり、各社の収益を押し上げた。もう一つの柱は液晶パネル向けなどの高機能材料や部材で、高い世界シェアを背景に事業を拡大した。
 ところが、成長する化学品事業に中国などで積極投資が行われたことで、多くの基礎化学品は供給過剰に陥った。液晶パネルも地上デジタル移行を契機に一気に需要が落ち込み、国内電機産業の競争力が低下が追い打ちをかけ、高機能材料事業も苦戦が続いた。
 実力以上の円高も企業業績に打撃を与えたが、13年度は円安定着の恩恵を受けて化学企業の業績も回復に転じた。加えて化学各社が構造改革に大きく踏み出した効果も無視できない。国内では3基のエチレンプラントの生産中止が決定、対応した誘導品設備の縮小も具体化している。この間、厳しい環境が続いていたカプロラクタム、高純度テレフタル酸、フェノール、MMAなど国内基礎化学品設備の生産停止も始まった。
 基礎化学品事業の赤字は年度も継続すると予測する企業が多いが、赤字の垂れ流し状態からは脱却できそうだ。しかし、これだけでは成長戦略にはつながらない。各社の模索が続いているが、日本の化学やユーザー産業が強みを持つ分野への展開を加速することが、その解の一つになるのではないか。
 化学企業の高機能材料や部材は世界をリードしてきた。信越化学工業のシリコーン樹脂、ダイキン工業のフッ素製品、東レの炭素繊維、クラレのポバール製品など、世界を相手にビジネスを展開する高機能事業は高い収益力を確保している。
 液晶テレビや携帯電話のような変動の激しい市場に、過度に依存するリスクは最小化したいという方針も目立つ。日本企業が競争力を維持し着実な技術革新が見込める自動車、電機企業を中心に戦略的強化が打ち出されている社会インフラ市場などに素材力や加工力を武器に経営資源を投入してほしい。


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