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「美味しんぼ」が投じた広報戦略の重要性
小学館の雑誌ビッグコミックスピリッツの「美味しんぼ」が、福島原発問題を取り上げ話題を呼んでいる▼題名の通り、このコミックは「食」がテーマだが、それを切り口にさまざまなものを批判の対象としてきた。大手企業が造る日本酒、醤油、味噌などを題材にした。農薬や化学調味料も対象となった。結論は自然食品、天然の原材料の良さを強調する。恐らく、これまで批判された企業や産業界は抗議したに違いない。だが、今回は環境省や福島県、さらに大阪市などを巻き込み、賛否両論が噴出した▼話の筋は福島第1原発を訪れた主人公が鼻血が止まらなくなり、その原因は放射線被ばくと指摘する。その反論はあちこちから上がり、風評被害を憂う声も強い。これに対し、作者は「今の日本は自分達に不都合な真実を嫌い、心地よい嘘を求める空気に包まれている」と言う▼"言った者勝ち"。これも今の日本の一側面だろう。だが、攻撃された方は確実にダメージを受ける。雑誌連載の数回分を集めた単行本は100冊を超える。「美味しんぼ」の影響力はそんじょそこらのメディアの比ではないと痛感する関係者も少なくないのではないか▼企業の、そして産業の広報戦略がますます複雑多岐になり、高度化されていることを、この一件は示しているのではないか。