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ナノセルロースの戦略的強化に期待
植物を原料とするセルロースは、紙や綿製品として古くから使用されてきた。ミクロンレベルに精製することで食品添加物やフィルター材料などに用途を広げているが、さらにナノレベルまでほぐして精製すると、自動車部品や住宅建材など工業用の高強度・高機能材料として市場が期待される。数年前から本格的に研究開発が始まったが、製品化を加速して、グローバル展開で日本が主導権を握ることを目的に「ナノセルロースフォーラム」が活動を始める。オールジャパン体制によるコンソーシアムの成果を期待したい。
セルロースをナノレベルまで精製したセルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタルは近年、大学や公的研究機関、民間企業で注目され、製造や加工技術の特許出願が急増している。日本は米国、フランス、スウェーデンなどに先行されたものの、最近は世界のトップグループと言われる。当初は大学や製紙企業の特許が多かったが、化学企業のほか自動車、電機、精密機械などナノセルロースのユーザー企業からも特許出願も増えているようだ。
産業界が注目しているのは、セルロースをナノレベルに精製することで高強度、低密度、低熱膨張率の特徴を発揮することだ。植物由来であることで環境負荷が小さいことも次世代材料として関心を集めている。鉄と比較すると、5分の1と軽量ながら5倍以上の強度となる可能性を秘め、自動車部品や家電製品筐体向け高強度材料としての展開が見込める。このほか住宅建材や内装材向け高機能材料、フィルターや透明紙など特殊材料の開発も始まっている。
これまでは大学、研究機関、民間企業が独自に研究開発を進めてきたが、海外勢と対抗するには連携を強化することが必要と指摘されている。またナノセルロース評価に不可欠な国際標準で主導を握ることが急務という判断もある。そこで経済産業省紙業服飾品課と化学課が音頭を執ってナノセルロースフォーラム設立に動き出した。
6月中にフォーラムの設立総会を開催するが、大学や公的研究機関、素材や加工から電機などユーザー企業が広く参加する予定だ。当面の事業は国際標準化機構(ISO)によるナノセルロースの標準化推進のほか、産業技術総合研究所や大学などの研究開発設備の利用促進、人材育成などに取り組む。
農林水産省も農林水産物由来原料による工業分野向け高機能材料の開発に一環に、ナノセルロースの製品化方針を打ち出している。フォーラムの今後の議論も踏まえ、国を挙げたナノセルロースの技術開発支援も必要になるのではないか。