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広がる中国の労働争議に予防対策を
5月初め、中国・上海にあるTOTOの華東工場で従業員の給与を巡る大規模なストライキが発生した。地元報道によれば、工場監視カメラなど器物破壊の騒動は収まったようだが、中国に進出している日系企業は、従業員労働ストに対して、よりきめ細かな予防対策が求められている。
2010年5月に、広東省のホンダの自動車部品工場で勃発した労働ストライキをはじめ、これまでも労働者のストライキは数多く発生した。今回のように、工場従業員のほとんどが参加して賃金アップを求める大規模な労働争議は限られていた。これを契機に、中国各地で日系企業のみならず、大規模な争議が頻発するという見方が広がっている。
今年になって、TOTOのストライキ以外にも争議が発生している。3月には、深の米IBM工場で大掛かりな労働争議が発生した。同工場が中国のレノボ傘下に入ることに不満を募らせた労働者によるストライキだったという。4月にはナイキやリーボックなど有力スポーツシューズを受託製造する台湾系企業である祐元グループの東莞の靴工場でも従業員の賃上げを巡り大規模ストが発生した。中国のネットやSNSではこれを支援する動きも広がった。
中国における労働争議は、さまざまな社会不満が蓄積して、はけ口を求める若年世代が起こすケースが増えていると言われる。経済成長に起因する格差拡大に加えて、役人の腐敗・不正蓄財が広がり、贈収賄で得た巨額の金品受領など政治腐敗が常態化してきた。国民の多くは、こうした現実をなかば諦めに似た感情で接している。
中国における社会不満、役人の不正蔓延に対し、習近平政権は、全役人に向けた「厲行節約・反対浪費」(通称・贅沢禁止令)を発信した。現在、不正撲滅運動に乗り出しているが、役人不正の根絶には相当の時間を要するだろう。
その一方で、内需拡大に成長の軸足を移しており、中間所得層の拡大、消費の底上げを図らねばならない。ミドル層の収入を増やさないと、健全な経済成長につながらないというジレンマを抱えている。
中国で事業展開を行う日系企業は労働ストライキによるさまざまなリスクの回避するため、予防対策に改めて万全を期するべきだ。労働争議は些細な誤った経営情報などが労働者に伝わり、発端となるというケースも多いようだ。日頃から従業員とのコミュニケーションを密にして、社内の風通しなど基本的な活動を地道に点検することが、労働争議を未然に防ぐ重要な一歩であることは間違いない。