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2014年04月28日 前へ 前へ次へ 次へ

中小企業白書で重視した持続的発展

 中小企業・小規模事業者は約385万者、わが国企業数の99・7%を占め、売上高は610兆円に達する。一方で人口減少・高齢化が進むなか、経営者も高齢化して70歳以上の年齢層が最も多い。企業数は直近3年間で35万社が減少するなど厳しい環境が続く。2014年版中小企業白書では、小規模事業者まで広げて直面する課題を分析、国や地方自治体の施策をワンストップで提供することで、持続する経営を後押しする。
 小規模事業者に絞ると334万者、全体の86・5%と圧倒的比率である。その多くは地域経済や雇用を支える大切な役割を果たしている。ただ8割以上の事業者は市場が地元地域に止まっており、広域需要を取り込んで事業を展開する事業者は2割弱に限られる。
 今通常国会に提出した「小規模企業振興基本法」では、これまでの中小企業政策の基本理念だった「成長発展」のみならず、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持に貢献する「事業の持続的発展」も重視した。白書では維持・充実を目指す小規模事業者の安定成長に向けた取り組み事例、支援する施策の紹介に多くの紙面を割いた。
 経営者の高齢化による事業継承・廃棄もクローズアップされている。近年は親族以外の第三者へ継承する割合が増加しているが、その育成には「3年以上必要」と考えている経営者が多い。それだけに早い段階から、事業継承の準備が行えるように情報提供や意識改革を支援する施策の重要性を強調する。
 起業・創業希望者も激減し、開業率は欧米に比較して半分以下で低迷している。国民性の問題もあろうが、白書では起業意識の変革、起業後の生活・収入の安定化、起業に必要なコストや手続き負担の3点が無視できないとして、制度改革や相談体制の充実を指摘した。このほか、国内市場の縮小が進むなかで、海外展開も迫られる。
 これらの課題に対応する政策支援は行われてきたが、縦割り行政や自治体との連携不足で、情報がスムーズに提供されていないと分析。施策を簡単に比較、一覧できるシステム「施策マップ」を構築することで、事業者に活用を呼びかけた。
 さらに地域経済活性化を目的に、資金や仕事を域外から持ち込み、域内の事業者に配分している企業を「コネクターハブ企業(域内中核企業)」と位置付け、積極的に政策資源を投入して育成、強化する。中小企業・小規模事業者の支援の新しい試みとして注目したい。ただ事業者の新陳代謝などは政策だけでは限界もある。M&Aなどを手掛ける民間事業者との連携も必要になるのではないか。


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