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企業は博士人材を生かす研究態勢を
博士課程の修了した研究者を、企業は前向きに採用しようという動きが広がっている。博士課程の学生も企業で実用化を重視した研究を手掛けたいという指向が強まっている。3月末に名古屋大学で行われた日本化学会春季年会「博士セミナー‐企業から博士人材への期待‐」は満席になるほどの参加者があり、学生と企業関係者の活発な議論が繰り広げられた。このモメンタムを追い風に、化学産業のイノベーション力向上に博士人材を生かしてもらいたい。
これまで博士課程に進んだ学生は、大学に残り研究職を目指すのが一般的だった。しかし大学院拡充によって博士過程修了者が急増する一方、大学教官の定年延長によるポスト不足で安定した研究職を得ることは難しくなった。一方、企業側は専門色の強い博士課程修了者は視野が狭く、柔軟性に欠けるということで敬遠しがちだった。このため修士を採用して自社で育てたいという企業が多かった。
研究者の採用を巡る産学のミスマッチを解消するため交流の機会は増えている。新化学技術推進協会や日本化学工業協会が窓口となって、化学人材育成に向けた活動が行われている。大学側も学生に産業界の研究の現状や要求されるスキルを知らせる努力を始めている。これらの取り組みもあって、博士課程学生が研究の場を企業に求める傾向も強まっている。
日本化学会春季年会では、学生から博士人材の採用状況、求められる能力など広範な質問が寄せられた。これに対して企業は「研究職の半分は博士課程修了者」(住友化学)という実情のほか、「改良技術ではない新規研究では博士論文を手掛けた経験が必要」「大学で学んだことを生かした俯瞰力」「質の高い情報発信力」を期待する声が相次いだ。また「海外のトップ研究者と対話するためにはドクターの肩書は不可欠」と現実的な指摘もあった。
採用数を増やしてきた博士課程修了者やポスドク研究者が企業研究で大きな役割を果たすのはこれからのようだ。現状はその評価を見極めたいというのが企業の本音で、過渡期にある。韓国や台湾も含めグローバル競争が一段と激しくなる化学産業にとって、イノベーションを誘発できる研究者の存在が勝ち残りのカギを握る。これまでのように修士を採用して、社内で育成するということでは変化に対応できないという認識も定着している。
企業は博士人材が実力を発揮できる研究環境の整備を急ぐ必要がある。学生は将来の企業研究に耐える専門性や俯瞰性など質の高い能力を博士課程時代に磨いてほしい。