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否定されたレアアース輸出規制措置
世界貿易機関(WTO)は、環境や資源保護を名目とした中国のレアアースなど鉱物資源の輸出規制が協定違反とする報告書を公表した。提訴した日本、米国、EUの主張が全面的に認められた決定である。60日以内にWTOの上級委員会に異議を申し立てることが可能だが、中国は今回の決定を受け入れ、国内産業保護が鮮明なレアアース規制を早急に撤廃すべきだ。
中国商務部は2010年7月、レアアース輸出枠の大幅削減を発表、世界のハイテク産業に衝撃と与えた。これに危機感を持った日米欧は12年3月、レアアースにタングステン、モリブデンに加えた原材料3品目の輸出規制措置がWTO協定に違反するとして協議を要請した。
WTOパネルで争われたのは、原材料3品目に賦課している輸出税、輸出数量の制限および貿易権の制限の3点で、WTO協定違反と主張した。これに対し、中国はレアアースなどの輸出税は人や動植物の保護を目的にしている。また輸出数量制限は有限天然資源保存のための正当な措置と反論した。約2年間のパネル審理を経て、日米欧の主張を全面的に認めた。
中国商務部は「当該規制措置がWTOの推進する持続的開発目標と完全に合致するものと確信している」という声明を発表した。今後の方針は明らかにしていないが、最終審にあたる上級委員会で判断が覆るケースは少ないとされている。
中国は99年、重要戦略的資源に位置付けるレアアースなどの輸出数量制限を実施、06年には輸出税も導入した。さらに10年9月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を契機に、レアアースの事実上の対日禁輸に踏み切った。世界のレアアース生産をほぼ独占していた中国の輸出規制措置は、ハイブリッド車のモーター用磁石に使われているネオジム、ジスプロシウムなどを十分に確保ができず、ハイテク産業のサプライチェーンに混乱を引き起こした。
この事態に対応して、日本企業はレアアース使用量の削減、代替技術の開発を進めた。世界経済の停滞もあって中国以外では需要が減少している。国際価格も11年をピークに急落し、一時の危機感は薄らいでいる。
しかし、レアアースが"産業のビタミン"としての重要性は変わらない。資源や環境保護を目的にする生産調整は持続的開発に必要としても、これを理由にした国内産業優遇は明確に否定された。資源を海外に依存する日本にとって一部資源国の保護主義的政策をけん制するうえでも意義のある決定だ。同時にレアアース代替技術の開発、新たな資源確保に向けた努力は継続しなくてはならない。