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2014年03月27日 前へ 前へ次へ 次へ

多様な技術で競い合う水素キャリア

 究極のクリーンエネルギーとして水素に関心が集まる。家庭用燃料電池に続き、燃料電池自動車(FCV)が2015年量産化に向けて開発の最終段階を迎えている。将来の水素発電も含め大きな可能性を秘める一方で、実用化には課題も山積する。とりわけ水素を安全・大量・低コストに貯蔵・輸送する技術開発が実用化のカギを握る。
 水素社会の構築には経済性に優れた水素の製造技術が不可欠となる。短期的には石油コンビナートや鉄鋼業の副生水素が有利だが、大量かつ安定供給が必要なFCV燃料では、化石資源を改質した水素によって対応せざるを得ない。この場合はCO2が発生するため、"究極のクリーンエネルギー"の地位を確保するには太陽や風力エネルギーによるCO2フリー技術が求められる。
 並行して技術開発が進行しているのが水素の貯蔵・輸送技術。水素は常温では気体で、爆発しやすい、水素脆化によって金属容器を劣化させやすいなど取り扱いが難しい燃料である。当面のFCV燃料としては700気圧程度まで圧縮するか、マイナス253度Cの超低温に冷却・液化するかで貯蔵・輸送することになる。
 水素の抱えている取り扱いの難しさを解決するには、化学技術を活かした水素キャリアの実用化が待たれている。現在、先行しているのは水素をトルエンと反応させて化学的に固定させるメチルシクロヘキサン。有機ハイドライド法と呼ばれ、千代田化工建設が開発を進めている。常温・常圧下で取り扱い可能で、利用場所で水素を簡単に取り出せるという強みがある。
 アンモニアをキャリアとして利用することも実現性の高いプロセスのようだ。水素と空気中の窒素を反応させるハーバー・ボッシュ法をベースに比較的緩やかな条件で液化できることも有利である。このほかヒドラジンなど多くの水素キャリアが注目されている。
 経済産業省は昨年末、「水素・燃料電池戦略協議会」を立ち上げ、水素供給の効率的なサプライチェーン構築に向けた議論を開始した。総合科学技術会議を所管する内閣府は、戦略的イノベーション創造プログラムで水素のエネルギーキャリア技術の重要性を指摘。18年までに液化水素や有機ハイドライド、アンモニアなど多様なエネルギーキャリア製造技術の検証、水素キャリアを利用した発電、水素ステーションへの供給システムの技術確立を打ち出した。自民党は資源・エネルギー戦略調査会に「水素社会推進小委員会」を設置した。化学技術への期待を追い風に、水素社会の未来を開拓してもらいたい。


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