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学びたい米国のモノ作り成功事例
関西経済連合会が昨年秋に派遣した米国使節団の報告書が公表された。米国経済が回復した背景には、「シェール革命」に加えて、「モノ作り革命」と呼ばれる新たな動きがあると強調した。わが国の強み、競争力の源泉と考えられてきたモノ作りだが、実は米国経済復活の原動力の一つになっている。
そのなかで、3Dプリンターに代表される新技術を活用したもの作りのデジタル化が浸透、DIY(Do-It-Yourself)ムーブメントが広がりつつあるという。米国のモノ作りが従来の大量生産型から、少量低コスト生産でも優位性を確保している。コスト削減を目的に新興国に移した生産拠点を米国に戻す製造業回帰を後押し、雇用回復にも寄与しているという。日本にとっても今後のモノ作りを考えるうえで、参考にしたい事例だ。
モノ作り革命の発信地はシリコンバレー。ここで蓄積したヒト・モノ・カネが原動力となってイノベーションを生み続ける強みが発揮された。シリコンバレーには高価な3Dプリンターやレーザーカッターなどを貸し出す会員制工房があり、ベンチャー企業や個人発明家が自らのアイデアを形にする試作品作りの場として活用される。モノを作りたいという望みを可能にし、シリコンバレーの技術革新に貢献しているという。
関経連は、行政と企業の間をつなぐ媒介役も重要と指摘する。シリコンバレーでは米国経済停滞期に産学官のトップが結成したNPO法人が地域の再活性化プロジェクトを推進、シリコンバレーの復活を支援した。権限はないが、明確なデータに裏打ちされた戦略を提示し、企業と行政の双方から信頼を得ているという。
報告書では、成功の要因にベンチャー企業の存在も挙げている。日本ではベンチャー企業がなかなか育たないが、シリコンバレーでも起業率はそれほど高くないものの、ベンチャー企業の成長率が非常に高いとされる。このほか、ビジネスで成功して企業を売却した起業家がベンチャーキャピタリストとなり新たな起業家に投資する。オープンイノベーションによって、大企業は社内で生み出せない破壊型イノベーションをベンチャー企業から取り込み、ベンチャーにとっては大企業が人材や資金の供給源になるという。
日本の場合、経済特区など官主導による各種優遇策から始めがちだが、個のアイデアを形にしてビジネスへと昇華できる流れを産学官が連携し、育むシステム作りが必要だ。モデルケースは多種多様だが、米国を参考にして、多くの成功事例を期待したい。