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2014年01月30日 前へ 前へ次へ 次へ

人と話題 実験動物中央研究所理事長 野村龍太氏

医学・医療の発展に寄与する研究を推進
世界標準として広く普及させる
 公益財団法人の実験動物中央研究所(実中研)は、その名の通り実験動物の研究機能を有する世界でも稀有な存在。同一スペックのマウスを開発するなど新薬開発に寄与してきた。「我々が目指すのは人類の健康に貢献するツールを提供すること」と語る理事長の野村龍太氏(左写真)。実中研創設者で昨年1月に他界した父・達次氏の後を受け同年3月に就任した。
 医学・医療の発展のためには信頼性の高い実験動物が必要だが、実中研が設立した1952年当時は皆無に近かった。この問題解決のため達次氏は医学者から転身。2006年に第6代目理事長に就任するまで所長を務め上げた。
 世界保健機関(WHO)の世界ポリオ撲滅プログラム正式検定動物として採用されている「ポリオマウス」、短期発がん性試験用の「rasH2マウス」、超免疫不全マウス「NOGマウス」、世界で初めて実験動物として規格化された霊長類「コモンマーモセット」と、世界に先駆け成果をあげてきた。もちろん「動物愛護管理法が定める動物実験の国際原則『3R(代替、削減、改善)』をリードしてきた」。
 達次氏の長年にわたる功績が評価され昨年、国際実験動物学会議(ICLAS)が最上位の表彰制度を「Muhlbock-Nomura賞」に改名。母校の慶應義塾大学では慶應医学会に「野村達次賞」が創設された。
 龍太氏は進路を決める際、「親父と同じ道を歩みたくない」と思った。76年に慶應義塾大学商学部卒業後、三井物産に入社。化学品や医薬品担当、役員秘書などを経て、00年にバイオ事業開発室長に。遺伝子診断分野の基礎研究推進のためシンガポールに進出し、その際にかかわった実中研の印象がかつて抱いた気持ちを変えた。結局、長年勤めた三井物産を03年に退社、実中研に移った。
 目標は「安全性試験の世界標準を日本でつくること、世界最先端の医学に使える最先端のツールをつくること」。それを「公益財団法人の立場として、広く使っていただく」。そのため商社マンで培った知見を最大限に生かす。
 多数の共同研究が国内外で進行中で、実験動物と再生医療の組み合わせによる究極の個別化医療も視野に入る。「ヒト化マウスを用い、臨床試験に入る前の"フェーズ0"システムを世界標準として確立したい」との想いも募る。
 11年に川崎臨海部に移転。この京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の殿町地区には、共同研究先の国立医薬品食品衛生研究所や、ものづくりナノ医療イノベーションセンター(仮称)、ジョンソン・エンド・ジョンソンの東京サイエンスセンターなどが集まってくる。
 「最先端の研究を行うことでステータスを高め、世界中から共同研究のオファーをさらに増やしたい」。国境なき医療の世界で、不可欠な存在であり続けるための挑戦は続く。


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