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2014年01月17日 前へ 前へ次へ 次へ

日本モデルの繊維産業復活に挑戦を

 繊維産業は国際競争力が低下して縮小に歯止めがかからないというイメージが強い。事実、中国など新興国や途上国に押され、国内生産は縮小均衡が続いてきた。この原因に円高など厳しい環境があることは否定できず、競争条件のイコールフッティングが整えば、高付加価値分野を中心に生き残れるという自負もある。「アベノミクス」効果によって円高が是正されたことは、日本の繊維産業の巻き返しのチャンスである。
 川上の合繊や紡績から川中のテキスタイル、川下のアパレルまで繊維の業界団体が加盟しているのが日本繊維産業連盟。今週、開催された総会では、繊維業界を長年苦しめてきた円高の是正に加え、TPP(環太平洋経済連携協定)など広域経済連携協定交渉が動き出したことで、繊維復権に向けた道筋が描けるという発言が多かった。
 総会で決議した活動方針には、昨年同様に7つの重要項目を取り上げた。とりわけ重視するのが通商問題への積極的対応、環境・安全問題への取り組み、情報発信力・ブランドの強化の3つだ。
 1960-70年代の日米繊維交渉に始まり、繊維産業は長年、通商摩擦にさらされてきた。その経験から日中韓繊維産業協力会議をはじめ、欧米やASEAN諸国の繊維業界と交流を深めている。民間のパイプを生かしてTPP、日中韓FTAなど広域経済連携協定参加に向けて政府への働きかけを強める。
 環境・安全問題では、厚生労働省が検討している有害家庭用品規制法の法制化への対応を急ぐ。繊維のサプライチェーンを挙げた取り組みが必要として、業界間の情報共有、交流を通じた活動を強化して消費者の信頼をより高める方針だ。
 円安を背景に海外市場の開拓も進める。高い技術力と感性を融合して高品質、高感性、高機能素材で日本独自のファッション創出を目指す。政府の「クール・ジャパン戦略」とも連携して海外への情報発信、ブランド力強化を推進する。
 日本の繊維産業は、規模において中国などに対抗することは不可能だろう。それだけに蓄積した技術やノウハウを駆使して先進国らしい繊維産業を構築してもらいたい。これまで何度も、産業崩壊の危機に遭遇しながら生き残ってきた。このしぶとさがこの産業の遺伝子でもある。衣料用繊維からは撤退しても、炭素繊維など高機能繊維に転換した合繊企業も多い。
 総会当日、東レの榊原定征会長の経団連会長内定が伝えられた。繊維産業のモノ作りの伝統が評価されたと歓迎の声が相次いだ。繊維の底力を発揮させる好機につなげてもらいたい。


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