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インドネシア産業構造転換 持続成長へ課題
素材・部品の現地化カギ化学産業の発展に期待
【シンガポール=清川聡】東南アジア諸国連合(ASEAN)最大の人口を背景に、その市場ポテンシャルに注目が集まるインドネシア。旺盛な内需を取り込むべく自動車産業などの投資が活発化しているが、持続的な成長のためには輸入に依存している素材・部品の現地調達が不可欠。同国工業省も「素材など基幹産業を原料から内製化して、加工度を高める産業構造への転換」を課題に挙げる。素材の代表格である化学産業の発展にも期待を寄せている。
※コストはタイに軍配※
インドネシア二輪車市場トップのホンダ。同国で生産する二輪車向けの部品・部材の現地調達率は90%を超えているが、「素材まで掘り下げると50%程度にとどまる」という。現在はほぼ全量が国内向けだが、「将来的な輸出拠点としての構想を実現するためには、素材の現地化によるコスト競争力向上が不可欠」としている。
一部の日系自動車メーカーも「労働賃金にメリットがあるインドネシアよりも、現時点では素材・部品が集積して産業チェーンが確立されているタイの方が1台当たりの生産コストが安い」と指摘。素材産業の発展が最終製品メーカーの戦略の命運を握っている状況がうかがえる。
最終製品市場は活況を呈だが、それらを生産するために必要な素材や部品は輸入に依存。そのため貿易収支は赤字が続き、7月には過去最大の約23億ドルを記録した。健全な成長を目指すには産業構造の転換が求められている。
※インフラ整備不可欠※
化学産業の進出に期待が高まるインドネシアだが課題も多い。最大の懸念は石油精製と石油化学が切り離され、ナフサやコンデンセートなど多くの原料を輸入に依存している構造だ。例えばポリエステル原料の高純度テレフタル酸(PTA)は、パラキシレン(PX)をほぼ全量輸入に頼っている。インドネシアではこの20年間、製油所の大型投資が行われていないことで「化学産業が投資判断の二の足を踏む原因」(日系化学メーカー)となっている。
また、各メーカーは「電気代の高騰への対応や工業水の安定的な確保が必要」と口を揃える。物流面でも「主要港のタンジュンプリオク港の貨物の取り扱い能力がパンクしている。通関が通常1週間以内のところ、1カ月かかるケースもある」(日系商社)という状況。各社は原材料・最終製品の輸出入の遅延を想定したスケジュールを組まざるを得ないという。
※豊富な資源と融合を※
今後、インドネシアに求められるのは自国で生産される天然資源と川下産業を融合した新たな産業構造への転換だ。良い例がパーム油を出発原料とするオレオケミカル分野。インドネシアはパーム油生産で世界トップを誇るが、「パーム油は食品用途という考えが根強い」(工業省)。このため、界面活性剤の原料となるエチレンオキサイド(EO)など原材料の現地生産も限定的だ。ただ、花王はシャンプーや洗剤など日用品に使用する界面活性剤や産業用化学品の新工場を立ち上げ、同国における生産能力を大幅に強化するなど日系・欧米メーカーの投資が加速している。EO・オレオケミカルという融合性の高い化学品の現地化を進めることで、コンシューマー製品の一大生産基地となる可能性を秘めている。
(了)