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触感サンプルと言葉
物の触感を他人に伝えるとき、私たちはたいがい言葉を使う。たとえば、サラサラ、ツルツル、ザラザラ...などの擬音語(オノマトペ)がよく使われる▼小説家は比喩にも趣向を凝らす。「手に、蛇をつまんで投げ捨てたような、いやな感触が残る」(藤沢周平)、「毛虫に撫でられているような感触」(宮本輝)、「手ざわりが蒟蒻のようにざらついている」(井伏鱒二)、「上質のカシミヤのような手ざわりの猫」(村上春樹)などなど、実感が生々しく伝わってくる▼しかし、言葉を媒介とする限り、伝達の間に齟齬が生じるのは避けられない。さらさら感やざらざら感は人によって程度が違い、蛇や毛虫に触ったことがなければその嫌な実感は伝わらない▼電気通信大のグループが、オノマトペを基にした"触感サンプル"を開発した。ツルツル、サラサラなど手触りを表す代表的な単語を解析し、43語、50種類の触感サンプルを製品化した。実際にサンプルを触って、「こっちはサラサラで、そっちはツルツル」というように触感と言葉を確認できる。表面処理や製品デザインなどの開発用途に提案活動を進めるという▼資生堂が世界初の指センサーを開発したというニュースもあった。手触り、さわり心地、手応え。こういったところに開発のフロンティアが広がっているようだ。