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2013年10月21日 前へ 前へ次へ 次へ

化審法40周年、その成果と新たな課題

 化学物質による健康被害、環境汚染の未然防止を目的に1973年10月公布された化学物質審査規制法(化審法)が40周年を迎えた。世界に先駆けて新規化学物質の事前審査制度を取り入れ、有害化学物質の製造・輸入を規制した。その後3回の改正を重ね、新規化学物質のみならず既存化学物質にも広げてリスク管理を強化した。化学物質の持続可能な管理に貢献したが、海外規制との整合性など課題も浮上している。
 化審法は70年に「カネミ油症事件」の原因物質としてポリ塩化ビフェニル(PCB)が確定されたことを契機に難分解性、高蓄積性、かつ長期毒性を有する化学物質を規制することを目的として制定された。
 世界の化学物質規制の転機になったのは、92年の国際環境開発会議(地球サミット)における有害化学物質の環境上適正な管理を定めた「アジェンダ21」。それに続く02年の持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)において、化学物質固有の危険性のみに着目したハザード管理から、環境への排出量を踏まえたリスク管理の対応が迫られた。09年度改正では既存化学物質対策を強化、包括的化学物質管理を鮮明にした。
 化審法は時代の要請、国民の安全・安心を目指して管理対象範囲を広げ、安全の精度を高めてきた。一方、EUのREACHでは新規・既存を問わず、すべての化学物質を事業者がリスク評価、登録義務を課している。さらに成型品中の一部有害物質の使用に関する行政の認可や届け出が必要となり、消費者への情報開示も要求する。サプライチェーンにおける有害物質含有情報の伝達義務も求めた。
 リスク情報の質、中小企業への過大な負担も指摘されるが、先進的な化学物質規制法としてREACHをベースをする規制を導入する新興国が目立つ。
 現在、化審法における年間の製造・輸入量が1トン以下の少量新規化学物質制度の見直しが焦点になっている。電気・電子材料、中間物、フォトレジスト・写真・印刷版材料など先端分野の研究開発、試作に使われるケースが多い。現状の全国で1トンを超えない規制では技術開発に追い付けない。このため1社1トンへの緩和が検討されているが、早急に実施すべきだ。
 REACHでは法律の目的に化学産業の競争力と技術革新の支援を謳っている。化審法はPCB対策に起源があることから難分解性、高蓄積性を重視した法体系で、安全性試験が過度に厳しいという不満も根強い。5年ごとに見直すことも定められており、国際的整合性と化学産業の競争力強化という視点による次期改正の議論も急がれる。


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