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化学関係者必読の書『炭素文明論』
地球の地表および海洋にある元素分布で、重量比わずか0・08%を占めるに過ぎないが、農耕開始から世界大戦まで、人類は地上にわずかしか存在しないその元素をめぐり激しい争奪戦を繰り広げてきた▼『炭素文明論』(佐藤健太郎著)が面白い。歴史の切り口は、道具、食料、宗教、言語など様々あるが、この書は「炭素」という切り口で人類史をたどる。炭素化合物を制した者が、世界の歴史を大きく動かしてきた様子が、興味深いエピソードを交えて語られる▼人類の生命を支えた物質として、デンプン、砂糖、香辛料、グルタミン酸、人類の心を動かした物質として、ニコチン、カフェイン、エタノール、世界を動かしたエネルギーとしてニトロ、石油などが取り上げられている。化学式や専門用語がいっぱいでめまいがしそうな書ではなく、一般人でも読みやすい▼日本化学会が昨年まとめた『30年後の化学の夢ロードマップ』の編集にも参加した著者。理系に進んだ学生にさえなかなか価値を理解されない化学の現状を憂い筆を執ったという。化学が果たしてきた役割、そして化学の可能性の大きさを訴えている▼「今後の我々の未来を支え、道を切り開くのは、炭素をマネジメントする技術に他ならない」。サスティナブルな社会とは、"高度炭素マネジメント社会"である。