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期待したい界面活性剤の新たな挑戦
日本銀行は今月11日の金融政策決定会合で、景気の現状判断を「緩やかに回復しつつある」とした。前回会合の「持ち直している」から上方修正したわけだが、界面活性剤メーカーの首脳からは「実感がわかない」という声が多い。化学産業全体に景気回復効果が波及してくるのはいつになるのか、先行きが読みにくい。
界面活性剤は洗剤、シャンプー・リンス、化粧品、医薬品、繊維、染色、製紙、プラスチック、合成ゴム、タイヤ、塗料・インキ、コンクリート、機械・金属、農薬・肥料、電子材料など幅広い分野に使われている。このため界面活性剤の生産・販売実績は景気の指標としても参考になる。
日本界面活性剤工業会がまとめた生産・出荷実績によると、今年1-4月の生産量は前年同期比1%増、販売量が同2%減、販売額が同横ばいという状況だった。護岸・道路用コンクリート製品などの復興需要は堅調に推移している。必需品の日用品向けは底堅いとされるが、ボリュームの大きいシャンプーが同2%減とヘアケア用途が減少している。
復興需要は動いているとはいえ、土木関連企業にとっては、この需要がいつまで続くかわからないことから、設備投資に消極的という話も聞かれる。政府は設備投資を促すために様々な施策を検討する必要があるだろう。また、ヘアケア用品のような日常生活に不可欠な消耗品すら売れ行きが悪いという状況は、日銀が示す「緩やかに回復しつつある」という判断と、産業界の実感がかい離していると言わざるを得ない。個人消費が伸びる政策をより前面に打ち出すべきではないか。
今年の界面活性剤メーカーの業績を調べると、企業間の格差が生じている。昨年末から急激に円安が進んだことで、輸出比率が高い企業は円安の恩恵を大きく受けているようだ。ただ、界面活性剤全体の輸出比率は1割程度で、大半のメーカーは内需に依存しており、円安に振れると原料価格の上昇が直接響く。顧客への値上げを要請するしかないのが現状だ。
そうしたなかでも成長著しい東南アジアでのマーケティングを進めてい企業もある。積極的に輸出比率を高める努力も必要だろう。一方で、繊維や製紙など国内需要が振るわない産業向けに供給しているメーカーは苦戦を強いられている。だが、産業構造の変化はいつの時代も避けられない。現状に甘んじることなく、絶えず新規事業へのチャレンジを続けることが求められる。研究開発投資も怠ってはならない。界面活性剤メーカーの経営戦略を注目したい。