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世界を視野に高性能繊維の展開を
日本の繊維産業を取り巻く環境は厳しい。高い技術力を誇った化学繊維も世界の生産シェアは1%台に落ち込み、ほぼ70%は中国に集中する。日本企業が優位を維持しているのは、快適性などに特徴を持つ高機能繊維、炭素繊維に代表される産業用の高性能繊維である。
かつて世界の合成繊維を牽引してきたのは、デュポンやヘキストなど欧米の総合化学企業だったが、今や合繊からは撤退してライフサイエンスなどに事業構造を大きく転換した。例外的に合繊事業を継続している日本企業も縮小均衡が続き、とりわけ汎用品の競争力は喪失、中国一極集中の時代となった。
日本の合繊企業が生き残りに切り札に位置付けるのが高機能繊維と高性能繊維だ。日本化学繊維協会は中国現地調査も行い、日本企業の直面する課題や問題点をまとめた。それによると、衣料用高機能繊維は、海外素材のシェアが拡大、日本素材が優位を維持することは困難になりつつあると指摘する。今後、中国市場の拡大が見込めるものの、日本企業のビジネスチャンスは限定的という見方だ。
それだけに高性能繊維に賭けて、経営資源を投入する以外にないだろう。調査対象のパラ系アラミド繊維では日本企業の世界設備シェアが47%、メタ系アラミド繊維は11%、PAN系炭素繊維は68%、超高分子量ポリエチレン繊維は33%と高い。世界の炭素繊維需要見通しは、13年の約4万トンから20年には最大14万トンが予測されるなど市場の急成長も見込める。
一方で、世界的規模の競争は間違いなく激化する。韓国や台湾企業の拡張計画もあるが、中国の設備投資はすさまじく、一気に"日中激突"さえ予感させるスピードだ。なかでも炭素繊維企業は32-35社、合計設備能力は年1万トンと脅威的な拡大が進行中。国策で進める航空宇宙、風力発電など環境・エネルギー、自動車をターゲットに市場開拓を進めている。
現状の技術力では、最先端市場で中国企業にキャッチアップされることはなさそうだが、中国の生産が日本を上回る「チャイナクロス」の時期は予想以上に早いと覚悟せざるを得ない。日本企業は環境規制、省エネなどによる需要構造の高度化を地道な技術革新で進め、革新的なプロセスによるコストダウンの取り組みが求められる。
世界を視野に入れた新規市場の開拓も加速しなくてはならない。量産車を対象に自動車メーカーや大学も参加した炭素繊維による革新的構造材料の技術開発が今年度から動き出した。経産省が主導する日仏繊維協力の場も日本の素材を売り込むチャンスだ。成果を見守りたい。