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迫られる海外事業の人権リスク対策
日本も含め先進国企業は、生産コスト引き下げとともに、成長を続ける市場獲得を目的に新興国や途上国進出が一段と加速している。その際、先進国ではあまり問題にならない人権侵害が企業リスクとして浮上している。しかも自社工場内のみならず、地域住民とのトラブル、さらに原材料や製品の調達に始まるバリューチェーンの労務・雇用問題でも責任を問われる事例が増えている。
グローバル展開で先行してきた欧米企業は、自国外の人権問題を数多く経験してきた。1997年に表面化したナイキの委託工場における児童労働、低賃金労働、長時間労働は、労働者の権利を侵害したとしてナイキ製品の不買運動や訴訟に発展した。この種の労働者の権利侵害は21世紀になっても根絶できず、中国の委託工場における劣悪な労働環境が問題となった。
このほか、環境汚染による先住民族や地域住民の権利侵害、医療診断装置の誤った使用、アフリカなど紛争地域で採掘された鉱物資源から得られた外貨が紛争の資金源となる「紛争鉱物問題」などにも広がった。
日本企業も例外でなく日立製作所、住友金属鉱山、王子製紙など有力企業が抗議の対象となった。欧米企業に比較すると、一般的に日本企業は人権侵害リスクの認識が遅れていると言われる。企業内の取り組みのみならず、バリューチェーンを俯瞰した人権対策、さらに地域住民や専門家との対話や連携も十分に行われていない。
人権侵害に関する取り組みは、08年に国連による「保護、尊重、救済:ビジネスと人権のための枠組み」として集約された。これに基づいて11年に「ビジネスと人権に関する指導原則」が勧告された。(1)人権を保護する国家の義務(2)人権を尊重する企業の責任(3)救済へのアクセスで構成されている。
企業の社会的責任(CSR)を幅広く議論してきた企業活力研究所は、「新興国等でのビジネス展開における人権尊重のあり方」として提言を行った。経営トップはグローバル化が進展するなかで、人権を尊重する責任を社内外にコミットする。加えて、当該企業が法的責任を負わないバリューチェーンの人権侵害に関しても是正するよう働きかける責任があることを重視している。
日本企業のグローバル戦略が新興国から途上国に広がるなかで、人権リスクも大きくなる。リスクを十分認識して、社内のみならず関連企業やステークホルダーとのコミュニケーションを密にしなくてはならない。民間の努力だけでは限界があり、政府の的確な情報提供が不可欠なことも指摘しておきたい。